黒猫騒動   前編







短いスカートで階段を上るのはハッキリ言って困る。
アッシュフォード学園の女子の制服自体もともと丈が短いが、まだ制服の方がマシだったかもしれない。
ルルーシュはこの学園の悪趣味な会長を呪った。


今日は学園全体でネコミミ祭りが行われ居ていた。
準備の時もルルーシュは無理やり衣装を着せられたが、こんなものをきて一日過ごしたくない。
大体何故こんなにも露出が高いのかと思う。

会長のミレイは背中や胸は隠れているといっても、下半身はハイグレ状態。
シャーリーはへそ出しにタンクトップにスパッツ。
ルルーシュもニーナみたいに、普通に頭をかぶるだけがよかったが、ミレイがそうさせなかった。


ルルーシュが着ているのは黒のチューブトップに勿論へそ出しだった。
ミニスカートに膝よりながい黒のソックス。

みんな似合う似合うと言うが、本人は不機嫌きわまりない。
こんなものを着て一日授業なんて真っ平だった。




それにルルーシュはスザクから逃げていた。
ヤバイ・・あの瞳はヤバイ。
着替えが終わり、出てきたときのスザクの反応はあまりにも怖かったのだ。

「やーん!ルルちゃん可愛いすぎ!!」

ミレイがさすが私!というかのように抱きつき、シャーリーも大絶賛。
ニーナも顔を赤くして似合いますよ。と褒めてくれた。


リヴァルは口笛を吹いて視線をこちらへ向ける。


「なんだよ・・・リヴァル・・。」

「い・・・いや・・・なんか凄い・・。」


そっと目線をそらされた。
無理もない。目のおき場所に困っているのだろう。
自分だって男だったら困っただろう。


しかし、スザクは違った。

スザクの纏うオーラがいつもと違っていた。
それは生徒会メンバーにも伝わっている。

「スザク・・。」

おそるおそる読んできた。

「・・ルルーシュ・・。」


明らかに声質まで違う。なんだか怖い。

ルルーシュは本能的に、逃げてきたのだ。
今日は一目に触れなく静かに過ごそうと決めた。


でもルルーシュは気づいていない、逃げてる間に何人もの生徒にこの姿を見られていることを・・・
普段のルルーシュからは想像できない彼女の姿に生徒は目を奪われていた。
珍しさに興味を示すかのような視線
ルルーシュはスザクの恐ろしさ故に気づいていない。


すれ違う男子生徒のいやらしい視線でさえ、ルルーシュは気づかないでいた。

そう一刻も早く一人でいたかったからだ。




比較的人気のない方の校舎へ回り、屋上の一歩手前の使われていない教室へ身を隠した。

ここなら誰にも見つからないだろう。
ルルーシュはひと段落して物影に座り込む。


「大体・・・何を考えているんだ!会長は!!」

自分の身に纏っている服をもう一度見直す。
どう見ても・・・・


「悲しいほどに・・・恥ずかしい・・。」








さすがに使われていない教室は静かだ。
着替えたのは朝だから、もうホームルームは始まっているだろう。
ルルーシュはもうどもいいかのように目を瞑った。

「・・・放課後までここにいてやる。」


意地でもここから出ないつもりで居た。
幸い日もあたってポカポカして気持ちいい。
寝ることにしよう。


どう見てもこの姿は他人からみたら、日向ぼっこしている黒猫に見えた。




















どのくらい立ったのか、ざわざわと物音が聞こえた。
思い瞼を開けると、一人の男子生徒が立っていた。



「あ・・・・。」



「やっぱりルルーシュだったのか。」
「・・?・・・あ・・」


顔を良く見たら、同じクラスメイトだった。


「枢木・・・心配してたぞ。ルルーシュが居ないって・・・大騒ぎ・・。」

ルルーシュはそんなスザクを簡単に想像が出来た。
出ては行きたいもののこんな格好じゃ嫌なのである。



「そうだルルーシュお腹空いてない?今お昼休みなんだ。」

そういわれると、お腹が空いてるかと思う。


「はいこれ・・。」


「・・ありがとう。」


クラスメイトは差し入れといわんばかりに、パンとジュースを渡された。

「よくここが分かったな。」

「・・・なんか枢木が凄い勢いで探してたから、俺も手伝おうかと・・・」
「余計なことを・・・。」

ルルーシュはいつもより早いペースでパンを頬張った。

「そんなに慌てて食べなくても、逃げやしないよ。それにここを見つけたのはまだ俺だけ・・・大丈夫。」
「・・・ありがとう・・。」


「でもさ、条件があるんだ。」

「・・?・・へ・・ひゃ」


どんという物音とともに体が倒れた。

「ルルーシュが触れさせてくれたら黙っててあげる。」

「ひ・・卑怯な・・・!!」



でももう遅かった。
足の間に入られて、両手は押さえられた。


「実はね、ルルーシュがこっちの校舎に入ったのを偶然見たんだ。」
「初めから知っていたのか?」

「うん、それでね、ルルーシュが居なくなったのをイイコトに会長さんが黒猫探索ゲーム開催。」
「はい・・?。」

「見つけた黒猫を好きにしていいってるルールV」
「・・・・黒猫って・・・あたしの事?!」

「ビンゴ!」


顔を埋められてくすぐったかった。

「・・・ふ・・・ん・・。」


触れてくる手が気持ち悪い。
助けて・・・。

「ルルーシュって肌綺麗だね。白くてすべすべしてて。」
「やめ・・・ろ・・・」


手がスカートの中に入り込んだ。

「あぁ・・・!!」

「もしかして感じてる?」
「!!」

顔を真っ赤にしながら威嚇をしたが、それは逆効果だった。
反対の手はルルーシュの拘束を解いたが、上の服を脱がそうとする。

「いや・・・・あん!」

もう片方のては下半身を弄ぶ。
いたたまれない感覚に、ルルーシュは抵抗するが力が入っていないため意味がない。


「本当はさ、ちょっと体を撫で回すくらいでいいかな。・・・なんて思ってたけど・・。」

「つ・・・はぁ・・・や・・・・やぁ・・・。」

「ルルーシュのそんな顔見ちゃったら、抑えられなくなっちゃった。」

スカートの中で悪い動きをしていた指が、下着をずらした。

「・・・あ・・・ぁ・・・や・・・やめ・・」

ルルーシュは恐怖のあまり、抵抗すらできずに震えていた。
後ろへさがるが、後ろは壁。
逃げ道はない。


「ゴメンね。ルルーシュ、君が枢木を好きなこと知ってるけど・・・・」
「やめ・・・」

肩を掴まれた。もう片方は足を持ち上げられた。
本気だ。

「いやぁぁぁ!!」


「・・・ルルーシュ・・。」


「やめて!・・・放して・・・・や・・・助けて・・・スザ・・・ク・・。」





「ルルーシュに触れるな!!」






「な・・・・ぐ・・・う・・・。」





聞き覚えのある声を聞いたとたん、ルルーシュが押さえつけられていた重みが消えた。
ガタンと機材や机が落ちる音が聞こえる。


「・・・ルルーシュ!!」

「・・・スザク・・。」


「よかった間に合って・・。」


スザクは胸をなでおろすと、制服の上着をルルーシュにかけた。

「行こう。この格好じゃ二の舞だよ。」

スザクは痛いほどにルルーシュの腕を掴み、クラブハウスへ戻ろうと促した。
部屋に着くまでスザクは、一言も話しえはくれなかった。



















BACK          NEXT