狂わされた歯車   5



あくる朝が来た。
どんな事態が起きようと、変わらず世界は回っている。
お腹だってすくし、任務にも行かなきゃ行けない世界は何一つ変わらない・・・


今日もいつもと変わらぬ朝だった。
小鳥のさえずりが聞こえて、朝の日差しで目が覚めた。

ナルトはサクラが心配であまり眠れなかった。
額のタオルを冷たいものに変えたり、寝苦しくないか見ていたのであまりよく眠れてない。
あくびをしてソファから降りた。

冷蔵庫を開けたが中身は牛乳しか入っていない。
食べ物もカップラーメンしか入っていなく、サクラに何を食べさせるか考えた。

とりあえず今日は、おとといカカシから貰った野菜でサラダを作ることにした。
出来てからサクラの様子を見たが、熱はだいぶ下がり安定した息をしている。
さっきいのに電話を入れたら、どうやらサクラの両親にはうまく言っておいたようだ。
いのの家で休んでいるという形で、暫くいのの家にいるという形になっている。
世間では、夏休みの季節だしいのはサクラの親友の家に泊まりに行くというのは
不自然なことではないので、無難な答え方だった。



「うう・・・・ん・・・」

「サクラちゃん?」
「ナルト・・・」
どうやらサクラは目を覚ましたようだ。

「お腹すいてる?ごめんてばよ。俺の家カップラーメンしか・・・」
「大丈夫。食欲ないから・・」

「カカシ先生から野菜貰ってたんだ。サラダにしてあるから食べてよ。」
「そうね。頂くわ。」
サクラはいつもどおりの笑顔でナルトに微笑んだ。

「ナルト・・・あんたも野菜ちゃんと食べたらどうなの?」
「・・・俺ってば野菜嫌い・・」
「それだから駄目なのよ・・」

昨日の様子とは違い今日のサクラは、笑顔が耐えない。
決して無理して空回りしているのではいのだ。
表情がとても落ち着いていた。



「ナルト・・・・私・・・」
「どうしたの?サクラちゃん・・」
今度はとてもしおらしかった。
言おうか言わないかそんな感じであろう。



「私・・・もう・・・」

「サクラちゃんの言いたいことはわかるってばよ。」

ナルトはすぐにわかった。サクラの言いたいことが・・・
同じ仲間なのにこんなに、ならなくてもいいのに

「どんなことがあったってサクラちゃんはサクラちゃん。俺の気持ちは変わらないってばよ。」
「ナルト・・・」

ナルトはサクラの気持ちを接して先に言った。
其のほうがサクラにそんなことを言わせるよりいいだろう。

「ありがとう。ナルト・・・嬉しい・・・」
サクラはきっと拒絶されると思っていたのか、安心して涙が出てきた。
それは暫くやむことはなく、瞳から頬に流れ落ちていた。



「私・・・汚いよ?」
「俺はサクラちゃんがいい」
「ナルトのことずっと馬鹿にしてた。」
「かまわない」
「他の人たちに・・・」
「俺はサクラちゃんがそばにいてくれればそれでいい」


ナルトのまっすぐな瞳
魅入られて視線がそらせない。

ナルトはいつもそうだ。まっすぐひたむきに自分を見てくれていた。
曇りなき眼。純粋な瞳がサクラの心闇を溶かしていく・・・



「ううん・・・ナルト・・・」



























   ナルトはいつものように任務に出かけた。
無論、サクラは当然お休み。いののほうがカカシに連絡済である。
大人のカカシにはいつまで隠し通せるかが問題だが・・・


ナルトがついた時にはサスケがもう付いていた。

「よう。ウスラトンカチ、相変わらずおせえな。」
「時間通りだってばよ!!サクラちゃんは?」

怪しまれないように知っていることをわざわざ聞いてみた。
「さあな・・・あいつにしては珍しいな。」

サスケは興味なさそうに、いつもどおり座ってカカシを待つ。
ナルトはどうしても確かめたいことがあった。
それは、夕べのいのの発言からだった。
サクラのことはサスケが関係しているのではないか?

確かに、不自然だった言葉がある。
初めから知っていたような口調だった。
でも、自分の仲間を陥れるようなサスケではないことはナルトは思っている。
だからこそ確かめたい。いのも心配しているから、ちゃんと真相を聞かなくてはならない。
しかし、どうやって?

鋭いサスケに気づかれないようにするには・・・・・?



「なあ・・サスケ・・・」
「なんだ?」
ナルトがサスケの隣に座った。サスケは嫌がるように少し離れた。

「昨日・・夏祭り・・行ったのか?」
これが妥当な聞き方だろう。サクラがサスケを誘っているのは知っていることだったし。
「いや。俺は行かないってハッキリ断った。」

やはりそうだ。行かないってチャンといってる。サクラもそれは知っていた。
自分が来ないのを待っているのが悪いといっていたが・・・
サスケのサクラのことは、同じ仲間なんだからきっと待っていうということはわかるはずだ。
ここまでして、サクラを拒絶するサスケの気持ちがナルトには理解できなかった。



「全く・・・サクラにも困ったもんだ。」


突然サスケの声質が変わった


「???」




「あきらめさせるのに”手間がかかった”ぜ・・」
「・・・それ・・・どういう意味だってばよ・・・」
今の発言、腑に落ちない点がある。
「そのままの意味だ。あきらめさせるのに手間がかかった。”あんなことでもしないと”ウザイからな・・」




ナルトは目の前が暗くなった。
じゃあ・・・やはりサクラをアンナ目にあわせた張本人は・・・



今、ナルトの目も前にいる・・・





うちは・・・サスケ?


「何だよ、ナルト?じろじろ見て気持ちわりぃな・・・・」


この怒り・・・どこに向けたらいいのかわからない・・・・・






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