孤島の華   1




あれから概に3ヶ月がたっていた。


いのの他にも友達が出来、まあまあ楽しく今の生活を送っている。



気の弱い同い年のヒナタ、しっかり者のテンテン、初めて会ったシズネさんも遊女だと教えてくれた。
遊女の他にも、主人の奥方”綱手様”の官女もしているそうだ。


綱手様は昔ここの一番人気の人で、主人が一目ぼれをし、妻にしてしまったらしい。
まだ、借金は残っているので当時の大旦那と喧嘩したみたいで結局結婚をしてしまった。
凄い話しである。




今の一番人気を誇るのは、紅さんとアンコさんという二人だ。
遊女屋には一番位の高い遊女を名前の下に”太夫”という名前をつけるのだが、つけられるのは一人だけだ。
だから此処の木の葉伝はつけないという。
そういうことになったら喧嘩が起こりそうだから・・・・・



見習いとして、表へ出るがお酒の相手をするのみ。
時々絡まれる時もあるが、他の先輩が助けてくれる。
この髪の毛の色のせいで、目立つからすぐ目に留まってしまう。
ほら、今日もまた・・・・・・・






「君〜見かけない子だね〜。さては初めてかな〜」
客は酔っ払ってパシパシと触る。


「お客様。コチラはまだまだ見習いの半人前でございます。お触りは禁止ですわ。」
さっとアンコが入ってくる。
「お〜アンコちゃんいつ見ても可愛いね〜。」




指名した遊女が登場すると、前座の自分達は去っていく。






一人前の遊女になるのは16歳になってからと決められている。
あまり早く使うと、体が悲鳴を上げてすぐに弱って死んでしまうからだ。






シズネ・アンコ・紅など木の葉の遊女はレベルが高いと聞いてる。
まさにそうだと思った。
奥様の綱手を初め美女ぞろいだった。

自分もあんなふうになると思うと・・・・少し複雑だった。









「私はさ〜アンコ姐さんの方がいいと思うけど、サクラはどう思う?」


部屋に戻りいのと木の葉の一番はどっちかで盛り上がっていた。
いのは明朗快活なアンコを支持した。
少し強気で、残酷的な魅力にやられる男の少なくない。
しかし、攻撃的なアンコはサクラには印象が強すぎた。

髪の毛を何本か抜かれた。



「綺麗な色ね〜。真っ黒なんかよりこっちの色のほうが私も良かったな〜。」




無邪気な顔をこん事言ってた。







「私は・・・・・・紅さんかな・・・。」

「やっぱりね・・・。」

いのもサクラの回答のには予想がついていた。
「私はアンコさん見たいな、遊女になっても強く生きて生きたいわ。」

最もいのらしい考えである。







「こら!!もう深夜を過ぎてんのよ!!貴方達は早朝から仕事があるでしょ!もう寝なさい!!」
ぴしゃんと襖が閉められた。


「「・・・・・」」


もしかして今の話聞かれていた?
さっきの人物はシズネだったから、大丈夫だろう。





「もう寝よっか・・。」
「そうね。」




サクラが灯を消し、布団の中に入った。








見習いは早朝から仕事をする。
一人前の遊女は、明け方まで仕事をするので昼間は見習いがするのだ。
それにしたがって、礼儀作法、重い着物を着たときの歩き方、踊りの稽古
初めは結構ハードできつかったが、日に日に慣れていった。




























そして、3年の歳月が流れる。




サクラ、いの、ヒナタの3人は来週から一人前と扱われる。

怖くない

大丈夫やっていける。
3人とも緊張していたけど、なんとか励ましあって乗り切ろう。
そう心に決めた。










そして、運命の日はやってくる。



一昨日はヒナタ、昨日はいの、そして、今日はサクラの番だった。



「あんまり緊張しないでね。客の思う壺よ?」
紅はサクラにアドバイスをして元気付けた。


それにしても、皆サクラのことを哀れんだ眼で見ている。
「・・・・・・苦しいのは初めだけだよ?頑張って。」
他の花魁たちから激励の言葉が来た。
「はい・・・・。」





「サクラ・・・。」
「何でしょうか?紅サン。」




「此処の街にはね、面白い名物があるんだよ。」
「え?」

「奴らは”お初好き”といってね、生娘と性交するのが好きな変態が居る。」
「・・・・・・」
「ここにも・・・常連として来ているんだよ。」
「・・・え・・」


「一昨日もきた。昨日も・・・そして今日も・・」
「まさか・・・・」



サクラは背筋が震えた。
そんな恐ろしい事があるのか?



「ヤツは大蛇丸といってね、主人と奥様の知り合いなんだ。多額の金で生娘を買い、そして我が物とする。」



「やつは”初めて”しか興味が無い最初だけだから・・・・頑張りな・・・・。」







夕刻となり、花街の営業時間の幕開けだ。










「あらぁ、今日は綺麗な髪の毛をしているお嬢さんだこと・・・。」


今サクラは”大蛇丸”という男と向かい合っている。
まだ何もない。
お酒の晩酌をしている。

「サクラと申します。」

「いい名前ね。ここの名前?」
「いいえ、本名です。なくなった母親が名づけました。」
「へぇ〜。」
大蛇丸はサクラの髪の毛をなでる。

そろそろ来る頃だ。
隣の部屋には二人分入れる布団が敷いてある。





「さて、サクラ・・・?」
「はい・・・」





「私の相手をして頂戴?」




「はい・・・・・」




















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