孤島の華  9




桜と多由也はやっと大蛇丸の屋敷の戻ってきた。
火の国は木の葉花伝の近くなので、同じくらい時間がかかった。

馬車が着いたときに大蛇丸が出迎えてくれた。
「お帰り桜、多由也。どう?楽しかった?」
「はい、お母様とても・・」


「そう・・・それはよかったわ。さぁ・・中へ入りましょう。暗くならないうちに・・・。」

その日は多由也ではなくほかの従者がご飯を作っていた。
桜はいつも多由也の作ってくれたご飯しか食べたことなかったので、少し楽しみだ。
さすがに、今帰ってきた多由也に支度をさせるのは無理だ。

桜も多由也も疲れきっている。
できるまで桜と多由也は自室でゆっくり休んでいた。
そういえば、カブトの姿が見えない。
いつもなら大蛇丸の目の見えるところにいるのに?

彼もなにか単独で在るのだろう、そんなこと当たり前だ。







”私はうちはイタチと申します。なにかありましたら何なりと・・・”




「うちはイタチ・・・・・か・・・・・」

ベッドに横たわりながら、この2日間を思い返していた。
社交界は疲れる金持ちってのはなんでああ身勝手なのだろうか?
気に入ったかと思えば、不要になるとあっさりと切り捨てる。
でも、あそこにもいい人はいた。

黒髪で黒い瞳のあの青年。
そういえば、怒鳴っていた時は瞳が赤かったような・・・
不思議な目だった。

多由也から聞いたが、うちはの流れる血がそうさせているとか・・
特殊な一族なのだな・・・

時期大名のイタチの印象が強すぎて離れられない。
綺麗な身のこなし、まっすぐな目、市民を愛する心。
普通、あんな下町のほうまでわざわざ来ない。
それをあの人は、当たり前かのように・・・



「素敵な人ね・・・・・・。」





桜はそっとイタチがキスしたところに自分の唇を合わせた。



























「イタチ・・・こんな時間までどころうろついていた。あまり出歩くな、みっともない。」
イタチは屋敷へ帰ったとたん、現大名のうちはフガクだ。

「・・・見えないところの市民の状況を見てきたまでです。」
「・・・・・まぁいい。今度から気をつけろよ。」
「はい・・。」



大名の屋敷は広い。
なにも此処まで大きくしなくても良いのに、イタチはよく思う。
小さい頃は広くて走りまわってよく臣下を困らせていたものだ。

ここの屋敷はなんだか寂しい。そんな感じがする。


「あ、お帰り兄貴!」

「サスケか?」

やっとも思いで自室に着いたときに弟のサスケがイタチの部屋に入った。
「なんだ?」
「兄貴・・・・なんか嬉しそうだね。」
「そうか?」
「なんか・・・この前の社交界からなんか変わった。」

サスケのいう通りかもしれない。
あの時見つけた華
薄紅色の小さな華



「兄貴?!」
「!!」
「ナンだよ。ボーっとして。」
「すまない。ちょっと疲れている。用があるなら手短に話せ。」
「あぁ・・・・父さんがさっき兄貴のとこ呼んでた。疲れてるだろうから飯のあとでいいってさ。」
「そうか・・・話は検討がつく。」

サスケは頭の上にクエスチョンマークがつくような顔をしていた。


「・・・俺もそろそろな年だ。勝手に許婚というものを用意されていてな。」
「なるほど・・誰なの?兄貴の許婚。」

サスケは興味心身だ。
これまでそんな色恋沙汰には無関係のイメージがあったイタチだけに、サスケは嬉しそうだ。
そんなサスケの様子を見てイタチは深くため息をついた・・・・

「まったく・・・お前ももう子供ではない年だろう。」
「いいじゃないか!こういった話はいくつになっても面白いものだぜ。」

「そういったことは女子だけで十分だ。」
「ナンだよ。兄貴のケチ!」
言わなければ退散しないかのようにサスケはイタチのベッドに座った。


「・・・・・隣国の風の姫だよ。」
「げ!!あんな性格キッツイ女?!」
「お前・・そこまで言わなくても・・」

火の国は他国の中心に幅広い領土だ。
それ故他国には狙われやすい。
火の国に大きい風の国。
そこには、3人の姉弟がいる。
その長女のテマリとカンクロウ、我愛羅と続く。

風の国の由緒正しい血筋の王族だ。
火と風の今後のためにもということで、お互いの年齢も重なるとの理由で親同士が勝手に決めていたのだ。
そんな理由で、何度かうちは一族と風一族と何度かあったことがある。

サスケは一番下の同じ年の我愛羅と仲がいい。
最近は手紙の交換などもしていると聞く。
なにも嫁にテマリを娶らなくとも、弟達が仲良く築いているのだからそこまでしなくてもいいのにと思う。


それにイタチもテマリもお互いそんなつもりはない。
一度会った時に互いの心のうちを見せた。
二人との同じ意見だったので、まとまりも早く行った。
しかし、断ったとしてもまた新しい許婚を連れてくるだろう。とのことで偽りの許婚だ。
弟のサスケでさえそれは知らない。
イタチもテマリももう子供ではない。
知らぬ間に親達が進めているのかもしれない。



そういったことには興味なかったイタチだが、ここ2、3日で変わった。











「春野桜・・・・・・・・」





「ん?何兄貴なんか言った?」
「いや、なんでもない。」

「なんか変だぜ兄貴?この前の社交界から・・」

「そうか・・・?」





早くこの話しからは決着をつけたい。
そしてはやくあの娘に会いに行きたいものだ。

突如現れた春野女神とも言うべきか、イタチ以外でさえも魅了している。
きっと早くしなければ先を越されてしまうだろう。





「・・・善は急げだな。父上のところへ行こう。サスケ、お前も自分の部屋へ戻れ。」
「ちぇ!わかったよ兄さん。」

サスケはしぶしぶ自分の部屋へ帰っていた。
イタチは急ぐようにフガクの部屋へ行く。















「・・・父上、参りました。」
「後でいいといっておいたが、お前は昔からそういったことは早かったな。まぁ入れ。」


広い部屋にフガクとイタチ、沈黙が流れた。


「・・イタチ・・・前にも言ってあったが風の国とのご縁談の・・・」
「父上、その縁談は破棄していただきたい。」
「な・・なんだと!」

フガクは勝手なイタチの言いがかりに、思わずちゃぶ台を叩く。

「何を言っているのだ。もう向こうtも話がついているのだ。それにテマリ嬢は・・・!!」
「彼女とも話はついているんだ。もともとその気はない。断ったらとっかえひっかえ来ると思って偽っていました。」
「そんなことが!!」
「全て事実です。」

イタチの瞳はまっすぐフガクを見つめ見る。

「・・・しかし・・お前だけではなく、テマリ嬢からのそういったお話がなければコチラもこうする事はできない。」

イタチはやはりそうだろうと顔を落とした。
今度、風へと赴かなければならないな。そう思った。




「大変です!!フガク様!!」

襖の向こうで家来が慌てた口調で声を上げた。

「何だ!今は取りこみ中だ!」
しかし・・・大変なんです。」
「・・・・・わかった・・・何だ?」

「はい・・・申し上げます。たった今、風の国の大名様と姫君テマリ様と若殿の我愛羅様がお見えになっております。」
「なんだと!!」

イタチはテマリの行動力には手があがる。
おもわず口笛を吹いてしまった。
「こら!イタチ!」

「丁度良いじゃないですか父上。向こうも同じですよ、用件は・・・。」




「・・・わかった今行く。丁重にもてなせ。」
「はい!!」


「イタチ、お前も準備して来い!」
「ハイ。」














「兄貴!!」
部屋へ行く時サスケとすれ違った。
「サスケ・・」
「我愛羅が来てるって本当か?!」
「ああ・・・」

サスケは嬉しそうに我愛羅のいる応接間の方へ走っていった。
弟と子供っぽさには毎度呆れる。
あれとあの娘は確か同じ年だ。
男女ではああも変わるのか・・


だからってサスケも無能ではない
周りは子供っぽいと言うが、あいつの本性を知らないだけだろう。
母上に似て心優しいだけだ。
大名の器の素質も十分にある。
もっと年の近い兄弟だったら、跡目争いになっていただろう。
そんなことになっても、サスケは辞退したかもしれないが・・・


















「・・・勝手にいきなりすまなかったフガク殿。」
「いいえ・・丁度今イタチと同じ話をしていたもので・・テマリ様もますます美しくなられて・・」
「なに・・まだまだおしとやかさが足りんでね・・。」




「失礼します。」


「やっと来たか・・イタチ・・・・・」




「お久しぶりです。風の大名様、そしてテマリ嬢。」
「おお・・・イタチ君かすっかりいい男になって・・」
「ごきげんよう。イタチ様」




















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