孤島の華 10 「今の話は、本当なのか?」 イタチもテマリも結婚するつもりはないと断言した。 「だが、テマリ・・・」 「お父様は黙ってて、結婚なんて親が決めるモンじゃないわ。」 「これは俺も同意見だ。」 「イタチ!」 テマリもどうやら結構したくないことを証明したくわざわざ遠い風の国から来たようだ。 今、テマリに来てもらってイタチは好都合だ。 「テマリ嬢・・・貴方がこう言うことなら仕方ないが、イタチお前にはそろそろ大名を継いでもらおうと思っている。」 「それはよくわかっております。」 「お前一人の即位でもかまわんが、やはりお前と伴侶を共にする者が必要となる。」 そう・・だからフガクは焦っていたのだ。 何年も前から許婚は決められていたが、最近になってからは即位の話に飛び跡継ぎの話も出てくる。 まだまだフガクも大丈夫なのだから、そんなに急がなくてもいいと思う。 「お言葉ですが父上は少々せっかちです。まだ父上でも十分です。私はまだそんな器ではない。」 「何を寝ぼけたことを!今はお前の支持率の方が高いのだ。コレを期に・・・」 フガクは一歩も譲らない。 「わかりました。父上、ですが、私は自分で決めた女性と生涯を共にしたい。」 「これで話は決まったわね。」 テマリは上機嫌で立ち上がった。 「テマリ?!」 「帰りましょう。父上、此処からの話に私たちがいる何で無粋だわ。」 「それもそうですね。」 風の大名も立ち上がる。 「いや、急な押しかけをして申し訳ない。」 「いえ、いいのです。コチラこそ大した持て成しも出来なく・・・」 「いや、ご両人の本音が聞けて十分だ。」 あっという間だったが、我愛羅も連れて風の一族は帰っていった。 「兄貴、結婚するの?」 我愛羅の見送りに一緒にいたサスケは、テマリもいたということは結婚の話だろうと察した。 「いや・・・テマリ嬢とは結婚しない。」 「そうなんだ・・・俺もあいつとやいやだね。もって可愛くて大人しく・・」 「お前には好きな女子がいるのか?」 「え・・・別に・・」 「そうか・・・」 「じゃぁ・・兄貴もしかして・・。」 「まぁな・・・」 言葉を濁してイタチは去っていった。 「ちぇ!まぁいいか。ということは近いうちに兄貴の好きな人が見れるって事か・・」 あの堅物のイタチを落とした女 ちょっと興味が沸いた。 「さて、これは我愛羅にも報告しなくてはな。」 手紙を書くネタが浮かびサスケも慌てて戻っていった。 「で?イタチお前はもう心に決めた女性がいるのか?」 風の一族が帰った後、フガク・ミコト・イタチの3人で、今後のことを話し合っていた。 「はい、父上・母上。」 「ほう・・お前にそんな女性がいるとは思わなかった。」 「・・・で?誰なのイタチ?」 フガクとミコトはイタチがこんな類のことには興味ないと思っていただけに驚いた。 「お前のことだ、さぞかしいいお嬢様なのだろう。日向の血も者か?それとも同じうちはの者か?それとも・・・」 「この前の社交界でお会いしました。」 「まぁ・・素敵ね。」 フガク・ミコトは次にイタチが口をあけるのを今か今かと待っていた。 「・・・大蛇丸が、前に養女を引き取ったという噂はご存知ですか?」 「ああ・・・知っている。なんでも木の葉花伝の名のある花魁と聞いていたが・・・まさか・・・!!」 「そのまさかです!」 「正気か?!お前は!なんたる事を!!」 「イタチ、そのお嬢さんのことは会ったことあるの?」 「ええ何度か・・」 やはり他のものと同じ態度だ。 みんな桜のことをわかっていない。 一目見ればその、上品な雰囲気、漂う空気は和み、見るものを魅了させる。 清艶なる人。 「父上も母上もわかっていない。春野桜嬢はそんな人ではない。」 「春野?!」 イタチが桜の名前を言ったフガクの顔色が変わった。 「春野というのは・・・数年前に・・・亡くなったあの医療科学者の娘か?!」 イタチもそこまで知らない。きっと桜もそこまで知らないだろう。 「いえ・・私もそこまでわかりません。」 「イタチ・・・その娘・・・桃色の髪の色をしていないか?」 「!!!・・はい・・・薄紅の髪の毛に翡翠とも思わせる瞳をしています。」 「・・・それなら・・そうかもしれん。」 フガクは”春野”というのを知っているみたいだ。 「イタチ・・・大蛇丸とその娘を連れて来い・・。大蛇丸に聞きたい事が山ほどある。」 「わかりました。・・・で大蛇丸と桜嬢には私のお気持ちを伝えてもいいと言う事ですね?」 「ああ・・」 これはかえって好都合だ。 もともと桜は拾われた遊女の女と決め付けられ困難だと思っていたが、いともたやすく事が運んだ。 あとは、あの大蛇丸が桜を手放してくれるかだ。 遊女だ。 きっと大蛇丸も可愛がってるに違いない。 まぁ・・・大蛇丸は生娘しか興味がないとい噂だが、桜を引き取るほど気に入ったのだろう。 欲の深い男だ。 「暇ね・・なんか面白い事ないかしら?」 「大蛇丸様、そんな急にそう言われても・・。」 ここ数日大蛇丸の屋敷は平穏だった。 変化を好む大蛇丸は退屈で堪らなかった。 さすがのカブトもこれにはどうあがいても無理である。 時期に楽しいことはやってくる。 此処最近、桜へ求婚や求愛の申し込みをしてくる者が多くいた。 大蛇丸はそういったことは桜に全て任せている。 自分かどうこうするものではない。 どやら桜は好いた男がいる様子だった。 どんな男かは見当はつく。 多由也からそれどなく聞いてみたら、まぁお目が高い。 大名の息子と来た。 それにあのイタチもまんざらでもない。 これは面白いことになりそうだ。 それに、イタチには桜と同じ年の弟がいる。 また人騒動ありそうだ。 それにあのイタチには、許婚の風の姫がいる。 考えるだけでゾクゾクする。 桜がただ単にイタチと結ばれて幸せになるのもいいが、もっと面白いことにはならないだろうか? 特にあの弟・・・ 今後の重要人物ともいえよう。 「大蛇丸様。何をお考えになっているのですか?」 「ふふふふふ・・・とっても面白いことよ。」 「大蛇丸様には叶いませんね。」 「そう・・・それとカブト、そろそろ桜にちょっかいを出すのはやめていただきたいわ。」 「いつから気付いていたんです?」 「初めからよ。カブト・・貴方はうまく誤魔化していたけれど、桜はそう簡単にでいなかったものね。」 「・・・わかりました。せっかくよかったのにな・・」 心にもないお世辞だ。 きっと桜も、得たいの知れない実験材料にするつもりだったのだろう。 歴代引き取られていった娘達は皆カブトの餌になるのが殆んどだった。 「彼女はなかなか、禁断の扉を開いてくれなくね。」 「・・それが第一条件なの?」 「ええ・・・丁度いいこじつけですよ。開いてはいけないといわれたら人間開きたくなる。 しかし、桜様はその存在を忘れたかのようにしている。正直面白くないですね。ですから、僕なりのささやかな嫌がらせです。」 「嫌がらせにしてはやりすぎよ。」 大蛇丸は不機嫌そうにカブトをにらんだ。 こういったこともカブトは慣れているので、平気だ。 普通の従者なら恐怖に通りつくだろう。 突然部屋をノックする音が聞こえた。 「大蛇丸様、カブト様・・」 「なあに?」 「お客様がお見えです。」 大蛇丸は毎回毎回よく飽きないものだとため息をつく。 どうせまた、ドッかの馬鹿貴族が桜へ求愛の申し込みに来たのだろう。 「どうせまた同じでしょ?!丁寧にお断りしなさい。」 「違うんです。大蛇丸様・・その・・」 「うちは様がお見えになっているんです。」 「何ですって?!」 大蛇丸は驚きのあまり立ち上がってしまった。 「すぐに入れなさい。カブト多由也を呼んでお茶を用意してもうようにして!」 「わかりました。」 ついに来た。 面白いことがはじまる。 |
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