孤島の華 13 桜とイタチの婚儀は盛大に行われ、国は夜までイタチと桜の結婚を祝福した。 イタチと桜は幸せいっぱいだった。 晴れて、桜はイタチの妻になったのである。 初めは桜の身分を快く思わないものも多かったが、最近はそういったこともなくなってきた。 そういった者と桜では桜の方が上の立場だったからだ。 イメージは大変そうで忙しいと思っていたがそこまでは忙しなかった。 当たり前のようにこうのような大きな家では古くからの一族の決まりごとがあったりで初めは慣れるのに苦労した。 同じうちはの家に嫁いだミコトもそれは同じだ。 今はミコトが桜のよき理解者になっている。 作法などは花伝の時に習っていたため、お稽古のようなものはなかったが、妻としての自覚を持たなければならない。 夫のイタチはもう大名なのだ。 いわば后ののうな存在でおある。 こんなに王族の生活は息が詰る。 桜はそう思っていた。 大蛇丸のところもけっこう位の高いところにあったがそんなものはなかった。 今までが自由すぎたのだろうか? 家事や掃除などは従者がやるのは当たり前、桜は一目に触れても恥ずかしくない行動をとらなければならない。 でも根本的には大蛇丸のところにいたときと変わらない。 少し、勉強することが増えただけだ。 ”まぁ、桜様はのみこみがはやいですわね” ”なるほどそのような考え方もありますな。さすが亡き春野さんの娘でもある” 勉強することも全部覚えてしまった桜には部屋で読書などをしてすごしていた。 桜の部屋はイタチと一緒でどこか王室のようなベッドがベールに包まれている。 イタチは時々他国へ行くときがある。 新婚の時は桜も挨拶するために多くの国を訪れた。 一緒にいる夫の姿がこれほど勇ましく見えたのは初めてだ。 桜は惚れ直したほどだ・・・。 「イタチさん・・・今日は忙しいのかしら?」 「奥様、お茶をお持ちしました。」 「ありがとう。中へ入ってくれる?」 今日は桜の予定は無かった。 ゆっくり日ごろの疲れを癒していた。 「ただいま、桜。」 「あ、お帰りなさい。イタチさん。」 夕方イタチは戻ってきた。 たくさんのメイドやその他の者に囲まれながら、桜はイタチの帰宅を待ったいた。 「桜・・いい加減”さん”づけはもういいのだぞ。」 「ごめんなさい。でもつい・・・・・」 「・・これでは一目に出たとき困るぞ。」 「・・じゃぁ、お帰りなさい。”あなた”。」 「ま、でもさんづけも悪くない。」 「もぉ全くドっちなのよ?」 寝室に入るとイタチはこんなことを言ってきた。 意見がころころ変わる。 「でもさん付けで呼んでいいのは、二人きりの時だけだ。」 「はい・・」 イタチの腕が桜の体に巻きついた。 「え・・」 「桜・・・・」 あとはもう二人だけの時間。 イタチは初めは優しく抱いてくれるが、後からだんだん荒々しくなる。 初夜の時もそうだった。 寝室に入り、とろけるような口付け 一枚一枚脱がされていく服。 「イタチさ・・・」 「すべて俺に任せておけばいい・・。」 ベッドに倒されて、イタチの唇が桜の体の箇所に吸い付いていく。 「ん・・・ふ・・あぁ・・」 小さく曇った声が聞こえた。 今まで何人もの男と寝てきた。 でもそれはすべて合意の上ではなかった。 売られたから仕方が無かった。 抵抗できなかった。 怖かった。 いやだった。 でも、今自分を抱いているのは愛する人だ。 愛し愛され、とても心地が良い。 こんな気分は初めてで、なんか怖くて恥ずかしい。 無意識に体を隠してしまう。 「・・!」 一糸纏わぬ姿にされ、両手で体を隠した。 顔は赤くなり、震えてどうしていいのかわからない。 「怖がらないで、大丈夫だ。」 イタチは優しく桜の髪の毛をなでてまぶたにキスを落とした。 桜はそれに安心したのか、緊張が解けて腕をイタチの背中に回した。 熱を発する体に今にもほてってしまいそうだ。 「桜・・」 「イタチさ・・・。」 十分な愛撫が終わったころ、イタチのほうも衣服が剥がれていた。 ぼやける視界にイタチの手が桜の頬をそっとなでた。 下半身の圧迫感に眉を寄せた。 でも慣れてしまえばもう快感にかわってしまう。 桜の艶めいた声にイタチも答えるかのように腰を振る。 慣れてる慣れてないの問題ではない。 気持ちの問題だ。 幸せだ。 愛する人とひとつになれるのは心地よい。 「イタ・・・チ・・・・・・サ・・」 「さ・・くら・・」 呼吸が乱れる どうしよう、気持ちいい。 一度イクとイタチは粗暴になる。 乱暴な客もいたがここまでではなかった。 こうやって今までしてきた男と比べるのが要因だということをわかっていてしてしまう。 口に出していない、態度にも出していないがうすうすわかっていると思う。 イタチだとてそんなことをしても意味ないとわかっていながら、やめられない。 頭でわかっていてもとめられない。 「やぁ・・」 大きくなる桜の声 響いて声が他の部屋に漏れてしまいそうだ。 「お前は・・私のものだ。」 時々桜は意識を手放す。 「奥様、おはようございます。」 「おはよう。」 体の調子が優れない中、今日は予定があった。 といっても、イタチが主催している社交界だ。 そういえば結婚してからはまだ一度も行っていなかった気がする。 初めて大蛇丸の代理として行ったのだ。 そこでイタチとであった。 イタチがコレを開いてくれたことに感謝しよう。 社交界が無ければ、今の二人はいなかったのだから・・・。 「桜さんおはよう。」 「お母様!おはようございます。」 「少し顔色が悪いわね。大丈夫?」 「いえ・・大丈夫です。」 「いいのよ。かくさなくて・・・イタチでしょ?」 「・・・・」 「気にすること無いわ。私も新婚のときはそうだったの。家系かしらね?」 「いえ・・」 さすがうちはに嫁がれてからもう何年もたっているミコトはすべてお見通しだった。 「こっちへ来て、イタチが今日着ていくドレス選びをするって言ってたわ。」 「はい・・・。」 ”こんにちは、うちは夫妻、今宵は良い月明かりで・・” ”まぁ、夫婦そろってお似合いですこと” ”まさにコレが美男美女というもんですな” 社交辞令はもうなれた。 何度か参加しと事のある社交界だったので、少しは気楽だ。 ただ少し周りの目が変わったとおもう。 大蛇丸の養女から見事大名夫人へと俗に言う玉の輿になったのだから・・。 イタチは他の貴族と話しているが、桜は別行動をとっていた。 桜が疲れていることを知ってたため、イタチも気楽にしていたらいいといってくれたのだ。 もしかしたら、テンテンがいるかもしれない。 桜はテンテンを探すことにした。 「・・桜さん?」 「あ・・・ネジさん!」 桜に声をかけたのはネジだった。 「あれ・・テンテンさんは一緒じゃないの?」 「あぁ。テンテンなら向こうにいる。」 指を刺したところにテンテンは一人で、もらったシャンパンを上品に飲んでいた。 「テンテンさん。大丈夫?」 「あぁ、俺のところは分家だからそこまで厳しくない。」 火の国の中で一番組織意識が高いのは日向家だ。 ついてゆけずに、体を壊す嫁が多くいると聞いている。 「ありがとう、テンテンは俺がちゃんと見てるから。」 「それならテンテンさんは安心ね。」 桜達の婚儀の後、すぐネジとテンテンも結婚した。 もちろんイタチと桜も出席した。 二人とも幸せそうだった。 良かった。この二人なら大丈夫だろう。 桜は少しテンテンと話した後、外庭で月を眺めていた。 夜風が涼しく桜の髪と遊んでいる。 イタチはまだ回りの貴族に囲まれているのだろうか? 慣れてるイタチに対して桜はちょっと息が詰まった。 「!」 突然後ろから誰かに抱きつかれた。 あまりの驚きで声を出すことさえ出来なかった。 「俺だ。桜・・」 「イタチさん・・・びっくりさせないで。」 「ごめん・・どこに行ったのかと思ったから・・。」 イタチの抱きしめる力が強くなった。 ネジとテンテンもそうだが、自分達も幸せだ。 力強い腕に抱かれ桜は安心した。 |
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