孤島の華   18






イタチは紅葉を専用のベッドに寝かせた。
今は機嫌が良くコロコロと笑顔がこぼれる。

そんな風景をみて桜は少し嬉しくなった。
やはりこうではなくては・・・・


「桜なんか嬉しそうだな。」
「え?そう?そんなこと無いよ。」

でも桜の笑みは止まることは無い。

「紅葉、パパと一緒にご飯にしようね。」

桜は紅葉を抱き上げて、イタチと一緒にご飯を食べた。
ミコトとフガクは先に食べてしまったらしい。
サスケはまだ来ていない。
そういえば3人で団欒するのは、かなり久しぶりな気がする。


「なんか幸せ。」
「桜・・。」

「あ、紅葉こぼしてるよ。」

桜の隣に紅葉がいる。
口の周りに食べ物がついているのを桜がふき取る。

「お義父様とお義母様は、いつも早く先に食べてしまうの。」
「私がそんなに早く食べるのもね・・・。お腹もすいていないし、だからいつもサスケ君と私と紅葉の3人になってしうの。」
「そうなのか?」

イタチの声のトーンが少し変わった。

「うん、イタチさん帰り遅いし、本当はイタチさんとも4人で食べたいんだけど、なかなかそうならないわね。」
「・・そうだな。」
「だから今日はやっとそれが叶って嬉しいわ。」
「・・・・・・・・。」


イタチの頭の中にサスケと食べる3人の図が浮かぶ。
これならサスケを父親と思ってしまうのも、仕方ないだろう。
嫌な疎外感を感じた。


















「あ〜おいしかった!!」

「・・・桜と母さんが作ったご飯だろ?」

「ううん、時々ね作ってもらうことにしたの。」
「?」

「大名の妻がそんなにするなって。ふふふ・・。」

確かに大きな家では召使がやるものだ。
台所には台所を持ち場としている者がいる。

「だからか・・味付けが時々違うのは・・。」
「気づいてたの?」
「うすうすな。」




二人が見詰め合う。
その雰囲気を壊したのは紅葉だ。

「あ〜〜。」


「子供が出来るとなかなか、二人の時間が無くなるというのは本当だな。」
「ふふ・・・そうね。」

























実際、二人っきりになるのは本当に久しぶりだ。
桜が先に寝ている事が多かったからだ。


もう桜は薄着でいる。

「イタチさんも脱いで・・・」

手馴れている桜は、ひとつ一つイタチの着ているものを脱がしていく。
もう、桜は一糸纏わぬ姿だ。
イタチも着崩れていた自分の服を脱ぎ始めた。


「イタチさん・・・」
「なんだ?」
「緊張してる?」
「少し・・・な・・・」


イタチの愛撫が少しぎこちない。
何だが強引なような、粗暴な感じがする。
桜は過去そんな色事を経験してきたが、イタチがこんなふうにするのは初めてだ。
あのイタチががっつくこともなるんだなと、桜は意外に思いながら体を預けていた。


「つ・・・は・・・。」

小さく艶のある声が木霊する。
なんか恥ずかしくて声を我慢してしまう。

「あ・・・・!!!」

「なんで我慢するんだい?」
「え・・なんか・・・はず・・・」



イタチの目が怖い。
今までに見たことの無い怖い瞳。
蛇に睨まれている蛙のように身動きが出来ない。


「桜・・・。」


熱っぽい声で囁かれても不安が募った。
それは今までにない乱暴な行為を受けているからだ。
体が痛い。

「痛い・・・イタチさん・・・」

「桜・・・」


指の動きが荒い。
つかまれている腕が痛む。
噛まれている肌がチクチクする。


「あ・・・あぁ・・・・」

びくついていた体は休まれることなく次の段階へ進んだ。
体の中に入ってくる異物感
受け入れることが出来る状態ではあるが、体が悲鳴を上げている。


「いや・・・」

拒否が言葉で現れてしまった。
それでもすぐにやめてくれるほど、今日は優しくない。


イタチは正直イラついていた。
今日はやめるつもりは無い。

桜の背後にサスケの存在がチラついている。
気に入らなかった。
桜はあまり自覚をしていないが、サスケは侮れないと思った。
さっきの視線。
あれは宣戦布告だ。


渡さない。
きっとサスケは、自分と桜が結婚しているからと身を引くことは無いだろう。


「桜・・・好きだ。」

「あ・・・ん・・・うぅ・・・。」

桜はイタチの囁きに桜は答えるほどの余裕を持っていなかった。
声が止まらない。
だんだん小刻みな響になってくる。

体力的に限界なのかもしれない。
生理的に涙がこぼれていた。

「う・・・も・・ゆるし・・・て・・・。」


精一杯の哀願も無視されて、泣き声に変わる。
あぁ・・いやだ。
気持ち悪い。
こんなのはいやだ。

なんでイタチがここまでするのか桜にはよくわからなかった。
今日はゆっくり愛を囁いて、囁かれて・・・・
そんな時間がすごせると思っていたのに・・・
悲しくなって、涙が出てくる。
今度は悲しさが涙腺を刺激される。


「う・・・。ぅぅぅ・・・。」


止まらない。
しゃくりあがる。


「やめ・・・もうやめ・・・・」
「いやだ。」


イタチの動きは止まらない。
それよりもさっきより、動きが激しくなっている気がする。

「んん!!・・・はぁぁ・・!」







「〜・・・〜・・・。」


桜の体が震えた瞬間、全身の体の力が抜けたように動かなくなった。
気を失い重みが増す。


「桜・・・・。」


さすがのイタチも動きを止めた。

「桜・・・起きろ。」

頬を優しくたたいて見るも目が開かなかった。


「気絶か・・・。」



イタチはベッドから起き上がり、部屋につけてあるバスルームに入った。
熱いシャワーにあたって気分をなおした。

汚れたベッドを見ると、桜は死んでいるように見えた。
静かな寝息だ。
まだ目じりに涙が残っている。


「・・・・・桜・・・、サスケに渡さない。お前は自覚していないのか?」


イタチはバスローブを着て、人を呼んだ。


「誰か、誰かいないか?」

「お呼びですか?」


「シーツを洗濯しておいてくれ。それと今日は違う部屋で休む。」
「はい、わかりました。」


桜にバスローブを着せて、イタチは抱っこして運んだ。
紅葉は乳母にまかせている。


今日に限って紅葉は夜泣きもせずに、静かに眠っていたのだ。


実の父親の怒りに触れないように・・・。


次の日桜が目を覚ましたのは、昼を過ぎていた。
体中が痛く、動くのがおっくうだ。
見慣れない部屋の中、桜は一日中ベッドにうずくまったままだった。


「イタチさん・・・一体どうしちゃったの?」


その問いかけには誰も答えてくれなかった。





















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