孤島の華 21 「最近ね、イタチさんとあんまりうまくいってないの。」 「そうなんですか?」 多由也にポソポソと最近の事を語り始めた。 なかなか外へも出してくれなく、花伝にいるいの達ともまともに話をしていない。 「ね、多由也。」 「なんでしょか?」 「風の国に行く前に、花伝に行きたい。」 「そうですね。明日私といってみますか?風の方に行くのはもう少し先ですし。」 「本当?ありがとう!!」 今日はもう遅いと、多由也は桜を部屋へと促した。 桜はあまりの嬉しさに、子供のように興奮してなかな寝付けなかった。 大蛇丸も暫くはこちで好きな事をしてきて言いといわれ、桜と多由也は木の葉花伝へでかけた。 花伝と火の国は少し近いせいもあってか、桜は少々複雑な気分だ。 「そんなに緊張しないでください。桜様。」 「多由也・・・でもやっぱり目立つわね。」 「大名だって、娯楽で出かける時だってあります。そんな感じでいいのです。」 「ありがとう。やっぱり、多由也は私のお姉さんだわ!」 「桜様!」 笑い声が弾むんでいると時間が過ぎるのが早い。 馬車が止まったと思うと、外の景色は木の葉花伝の正面玄関だった。 花伝側も、久しぶりの桜の訪問に快くもてなしてくれた。 「桜!!久しぶりじゃない!!」 ついたとたんにいのが出迎えてくれた。 「全くもう!!あれ?子供は?」 どうやらいのは子供が見たかったらしい。 一緒につれてこなかったと話したら残念そうだ。 「なんだ、つまんないの。」 「もう、多由也と同じ事いうんだから・・・。」 どうやらみんな子供が見れると思っていたらしい。 テンテン意外はまだ花伝に残っていて、みんな元気だった。 どうやらテンテンはちょくちょく遊びに来ているらしい。 それに比べ桜はなかなかこないから、みんな心配していた。 まぁ、なかなか大名の妻というだけあってそこまで自由は利かない。 そこのところはみんな分かっているから、それほど言われない。 その日は、木の葉花伝は臨時休業をとり花伝の人間は桜とゆっくりすることが出来た。 「なんか一日じゃ足りないわね。今度はいつ会えるのかしら?」 「成り行きよ。」 もう、朝が来て楽しい時間が終わる。 迎えの馬車がきた。 いのは桜を抱きしめた。 「なにかあったら手紙くらいよこしなさい!待ってるからね!」 「うん。ありがとう、いの。」 いのは花伝に入って初めて出来た友達だ。 ちゃんと手紙を書こうと思った。 それに、自分のやつれ具合をきっと彼女は気づいていただろう。 あえて触れてくれなかった彼女の気の配りに、桜は感謝した。 大蛇丸の館に着いたのはもう深夜をまわっていた。 途中で少し寄り道をしすぎたせいだろう。 一日退屈な馬車のかなだったので、その日はぐっすり眠れた。 「ねぇ、桜は風の国にはなんどか行った事はあるのでしょ?」 大蛇丸は風の国もガイドブックを呼んでいた。 「はい・・でもそういった観光は全然で・・・。」 「あら、そうなの?」 大蛇丸は行きたい場所のページにしるしをつけていた。 「なら、いろんな場所へ行きましょうね。楽しみだわ。あ、ちなみに行のは私と、桜、多由也の3人よ。」 大蛇丸は桜がカブトを苦手意識を持っていることを知っていた。 桜の気分転換の旅行なのだ。 だから彼をはずしてくれたのだろう。 「明日には出発よ!」 一番張り切っているのは大蛇丸だったりする。 「えっと・・コレと・・お土産は、いのと花伝のみんなと、ミコトお義母様にフガク様サスケ君、あと・・イタチさん・・。」 しかし、サスケは風の国へよく行くし、その大名の次男坊と仲がいい。 「今更お土産なんていらないか・・。しょっちゅう行ってるモンね。」 「みんな・・・元気かな・・・。」 次の朝、桜たちは風の国へ出かけた。 「うちはサスケ・・・。」 「よぉ我愛羅、久しぶりだな。相変わらず、俺のことはフルネームかよ。」 我愛羅はいくら仲良くなっても、サスケのことはフルネームで呼ぶ。 それが彼なりの呼び方なのだろう。 「今度はまた来るのが早かったな・・。」 「あぁ・・・家にいてもつまらないしな。今度はお前がこっちこいよ。」 「・・・考えておく。」 「絶対だぞ。」 サスケは風の国の滞在中は、我愛羅と一緒にすごす。 部屋も隣にしてもらい、殆ど交流というなの遊びだ。 「そうだ・・・俺はまだ時間がいてないんだ。」 「そうだったのか・・。悪かったな、予定前に来て・・。」 「別いい、お前のことだ。なにかあるのだろう?」 家には桜もいない。 つまらないからこっちに早く着たなんて言ったら、我愛羅に殺されるだろうか? 我愛羅はあんまり恋愛沙汰には興味がない。 女一人にうつつを抜かすななんていわれそうだ。 笑いがこみ上げてくる。 「・・・何がおかしい?」 「いいや・・・。我愛羅時間空くのいつなんだ?」 「あさってだ・・。」 「・・・そうか、ならその間俺は、ゆっくりと町を観光してるよ。」 「かまわない。」 二人が話してると、我愛羅の姉のテマリが入ってきた。 「我愛羅、水からの使者が着てるぞ。」 「今行く。」 サスケは、テマリに会釈をした。 「久しぶりだな。こっちにしょっちゅう来ているのは分かるが、あんまり顔をあわせなかったな。」 「そうですね、テマリさん。」 「イタチは元気か?」 「はい・・・元気すぎて、桜が大変だよ。」 ”もう、いろんな意味で” 「あはは!アイツらしいな。あいつってなんだか独占欲強そうだしな。」 テマリには何もかもお見通しだった。 「テマリさんの仰るとおりですよ。」 「サスケお前がしっかりしてやらんと、”あれ”はどう見たって他人とかかわるのはもともと苦手だからな。」 今思えば、兄貴とテマリが結婚した方がよかったのでは?とサスケは思ってしまった。 いや、そう思う。 もしそうしていたら、桜は・・・・・ 「どうしたサスケ?私の顔に何かついているのか?」 「いいや・・。なぁ・・・」 「なんだ?」 「テマリさんてさ、兄貴のこと好きだったのか?」 意外なサスケの発言にテマリは言葉を失った。 ためらった顔をなおし、一呼吸おいて冷静さを取り戻す。 「そうだな・・・イタチのヤツは気に入っているよ。あいつを理解するのにはなかなか時間がかかる。」 あの時、縁談を断ったのは、イタチの思い人への対する気持ちがまっすぐだったからだ。 だから引いた。 「・・・俺、テマリさんの事応援するよ。」 「何言ってるんだ?!」 「本気だぜ?じゃぁな。」 颯爽とサスケはテマリをからかい、風の宮殿から出て行った。 「わー風の国もにぎやかだね〜。」 桜は仕事で各国を回ったことはあるが、こうやって遊びで来たのは初めてだ。 「ここは、乾燥地帯ですからあまり日焼けしないほうがいいですよ。桜様。」 多由也がケープをくれた。 「ありがとう、でも暑いね。・・みんな平気だなあんなのかぶって・・・」 別名砂漠の国、温暖な火の国とは違い、からっとした焼けるような国だ。 待ちの人々も暑さに負けないぐらい活気があふれている。 「そうだわ。桜どこか行きたいところはあるの?」 大蛇丸は桜にガイドの雑誌をパラパラと見せた。 桜は目を引いたところが一つあった。 「あ、ここ行きたいです。」 写真をみると、待ち一番の噴水と書かれてある。 とくに何もなく、夜になると綺麗なイリュージョンがはじめるという。 そこまで珍しくもないものだった。 「桜様・・せっかくここまで来てそれはないですよ。」 多由也も呆れ顔だった。 「そうねぇ・・・それにこれの施しが見えるのは夜だし・・。」 「じゃ、私夜一人で見に来ますわ。」 「大丈夫ですか?」 「じゃ、多由也も着いてきて!」 「・・分かりました。」 桜の主張はとりあえず許可を得れたようだ。 昼間は大蛇丸が行きたいところをつれまわされた。 でも、久しぶりに継母と多由也との行動が、桜をリラックスさせていた。 ミコトの言葉に甘えてこっちへ来たのは正解だった。 夕方にもなり、桜たち一行は旅館へと帰っていった。 砂で出来たお城みたいな建物。 風の国随一を誇る旅館。 ここへ来たときは砂の宮殿で寝泊りをしていたので、こっちの宿は初めてだ。 夜も更けて、多由也をつれて桜の行きたがっていたところへ行く。 もう人気もなく、ひんやりとしている。 水の音だけが心地よく、ライトアップされいる水の光がまぶしかった。 「本当にこんなのが見たかったんですか?」 「えぇ・・綺麗だわとっても・。」 飛沫が光ってとても美しかった。 「ね・・多由也」 「なんですか?」 「先に帰っててくれない?」 「・・・危ないですよ?。」 「ゴメン・・でも一人になりたいの。」 桜の必死な顔を見て何も言えなくなった多由也は、諦めて帰ることにした。 「・・ちゃんと帰ってきてください。何かあったら、連絡くださいね。」 「わかった。ありがとう!!」 多由也もいなくなり、桜は一人で噴水の水面に手を入れた。 「冷たい・・。」 このライトアップはいつまで続くのだろうか? 深夜までやるのだろうか? ここはあまり人通りが多くないせいか、人の声も聞こえない。 ふと後ろでひとの気配がした。 それは赤の他人のような感じではなく、心当たりがあるような感覚・・。 「桜・・・・?」 「サスケ君?!」 「なんで・・・桜がここに・・?大蛇丸の家に帰ってたんじゃ・・」 「みんなで気分転換に旅行よ。」 サスケは納得した顔をした。 「サスケ君は?また我愛羅君の所?」 「あぁ・・でもあいつの時間が空くのはあさってだから、適当にここら辺で遊んでた。」 「いいな・・サスケ君は・・。」 「?」 「強いね・・。」 二人で噴水のそばに座る。 知らない人から見れば恋人同士のようだろう。 「・・・ちょっと予定より早めに着いてラッキーだったな。」 「え?」 「桜に会えた。兄貴にも邪魔にされずに・・。」 「それ・・どういう・・。」 サスケは桜の反応を待たずに桜の顔を、己の胸に引き寄せた。 その瞬間噴水の水圧が上がった。 「俺は・・・桜のことが好きだ。その気持ちは兄貴にも負けない・・。」 「サスケ君?!・・な・・ちょ・・」 桜は混乱して固まってしまった。 サスケはその隙に、桜の唇を奪った。 「ん!!ん・・。」 口腔をサスケの舌で乱される。 「サ・・サスケ君・・。」 「桜・・・好きなんだ。」 サスケの熱の篭った台詞に、桜は酔いそうになった。 |
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