ノスタルジア 9 サクラはこっそりと家にかえり、家族に見つからないようにお風呂場に向かった。 シャワーの心地よいお湯がサクラの体を温めていく。 頭から被って暫くそのまま何も考えないようにしていた。 立つのが辛くなると座る。 特に洗うわけでもない、手で払うこともない。 ただお湯にあたるだけ・・。 「・・・なんか・・つかれちゃった・・。」 全ての事に・・・ 体はだるかったけど、このまま部屋に居るのも嫌だったのでサクラは外に出ることにした。 顔色の悪さに、会った人に帰ったほうがいいのではと言われる程だったか、サクラは大丈夫と帰ろうとしなかった。 行き先は時になにもなかったが、気がつくと人通りのないところまで来ていた。 大きな池があった。 そこは木の葉でも有名な一番大きな池だった。 一度ここで、大事なものを落としてし合った人が任務の依頼に来たのを思い出した。 まだ下忍のときだ。 サクラは息が長く続かないため、何度も繰り返し潜ったのを覚えている。 「私も・・・あの人と同じ・・・大事なものなくしちゃった。」 一歩一歩、池の方に進んでいった。 この池は広さだけではない、深さもある。 しかしサクラは歩みを止めることはなかった。 水位が膝、腰・・・・そして胸から首へと深さを増していってもサクラは止まらない。 そして頭をすっぽり覆ってしまっても、泳いで戻ろうとしない。 むしろ深く奥へ向かう。 肺活量はあまり自信がない。 すぐに息が苦しくなった。 サクラが正気に気づいたときにはもう遅かった。 体に水草が絡み付いて動けない。 必死にもがけばもがくほど、食い込み絡みつく。 サクラは観念したのか、そのまま体を水草にあずけた。 水中で眠ってしまおう。 永遠の眠りに・・・。 だってここはもう誰にもじゃなされないし、傷つく事もないのだから・・・。 諦めてしまえばさっきの息苦しささんて、すぐになくなった。 あぁ・・・これが死を覚悟したときの脱力感と感覚なんだ。 サクラはゆっくり目を閉じた。 水草がサクラを優しく包み、覆い隠していった。 一方、サスケはサクラの後を追っていた。 目撃情報はあるのに見つけられない。 『あぁ・・サクラちゃんならこの道を向こうへ歩いていったよ。』 『なんか顔色悪そうだったけどね』 『こっちの道を曲がっていたよ。』 「・・どこにいるんだ・・全く・。」 サクラを見た人の言ったとおりに道を進んで行くと、人気のない森に出た。 「なんでこんな所・・。」 「サクラちゃんその先入って行ったよ。今日はなんかの任務かい?」 「いいや・・・恩にきるよ。」 サスケはなかなか感じ取れないサクラの気配に、苛立ちを感じた。 そして嫌な予感をさせる。 「なんでこんなところにないっていった?しかも、この先って池しかないはず・・。」 木の葉でもっとも水の名所となっている池 「いない・・・・。」 たどり着いたが人っ子一人居ない。 でもなんかここを離れちゃいけないような気がした。 ここから離れれば一生後悔しそうなほどに・・・ 「まさかとは思うが・・・」 池の中? まさか? でもそんな事する理由が見つからない。 でもサスケには静かに沈んでいくサクラのイメージが、頭から消えないでいた。 「別に潜ってみれば分かる。」 一回見てみよう。 気のせいだったらそれはそれでいいのだ。 居なかったらまた探せばいい。 サスケは大きく息を吸って池に飛び込んだ。 静寂な池の中はやはり何も変わりはない。 (クソ!やっぱりなにもないか・・・) 念のためもう少し深いところへ潜ってみた。 そうすると、不自然な水草を見つけた。 まるで何かに捲きついているような・・・ それは人形に見える・・。 (まさ・・か・・・) サスケは力いっぱい水草を引きちぎった。 (!!!) その中には顔を真っ青にしたサクラがいたのだ。 (なんでこんなところに!!) サスケはすぐにサクラを担ぎ上げると、水面へと向かっていった。 「サクラ?!」 「おいサクラ?!」 頬を刺激しえも反応がない。 耳で心音を確認すると、心臓は確かに動いている。 サスケはサクラに何度も息を吹き込み、やっとサクラの意識が戻った。 「げほ・・・ごほ・・・」 「サクラ・・・お前・・。」 サクラは空ろな視線を向けた。 全身に力がはいっていない瞳。 そんな力ないサクラをサスケはしっかりと腕の中で抱き寄せた。 「サスケ君・・。」 「あぁ・・・俺だよ。」 「やっと・・・」 「・・・?。」 やっと・・私の事見てくれたね・・・ サスケ君 大好きだよ。 |
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