ノスタルジア  12







「お前も随分と粘るねぇ。」
「あ、綱手様。」



アレから幾日か過ぎている。
夜は毎日クロメのところに来ていた。

そんな姿を見て綱手は、昔のサスケとサクラの姿を思いました。





「・・お前、今夜だけならここに泊まっていいぞ。」
「本当ですか?」
「あぁ・・。」


綱手は夜の姿と、愛弟子のサクラの姿が重なって見えた。
一日ぐらいならいいだろうとそう判断した。
それにこれなら、クロメと夜はもう大丈夫だろう。

問題は、サスケとサクラだ。


サクラは未だに精神面での不安が残っている。
体の心配はもういいのだが、問題は心だ。

サスケはちょっと前に一回来てソレっきり。
でも綱手の予想から裏腹に、サクラは穏やかな顔をしていた。
なにかありそうというような・・・・

綱手は不審に思ってなかなか退院を言い切れない。



「綱手様!ありがとうございました。」



夜は深く頭を下げた。
綱手は笑顔で”どういたしまして”と答えてあげた。
まぁ。クロメと夜が上手くいけば、次第にあの二人も良くなるだろうと考えた。









夜は慌てて家に戻り、洗面道具だけ慌てて取ってきた。

クロメのベッドの隣にもう一つベッドが置かれる。
それは今日夜が寝る場所だ。
こうやて一緒になるなんていつ振りだろう?

思えばずっとこんな事してなかった気がする。


「おやすみ。クロメ。」



夜は消灯時間、暗い部屋でクロメにお休み言った。
















暗い病室

見回りの巡回も終わった真夜中すぎ、足音が聞こえた。
それはだんだんとクロメの病室に確実に近づいてくる。


扉がゆっくり開いた。






「こんばんは・・・クロメ君。・・・あら?」


ふと隣に眼をやすとソコには夜の姿が映った。
嬉しそうな子供のようにぐっすり寝ていた。



「今日は・・・お客さんも一緒なのね。」



クロメの部屋に入ってきたのはサクラだった。


「でも寝てるからいいよね?クロメ君。」



サクラはクロメのベッドの上に乗っかる。
馬乗りになって、クロメの身に纏っているものをはがした。
そして自分の服も着崩した。



「・・・・クロメ君・・。」

























耳鳴りがした。
うっすらと外が煩いような気がする。


ざわざわと高鳴る鼓動に夜は、目が覚めてしまった。
ぼんやりとする視界の中で、ベッドの揺れるとこがしたのだ。


人の声も聞こえる。






「・・・フフ・・・・ん・・・つ・・・!」



曇った声。
女の喘いだような声。



「あぁ・・・!!」




幻聴なんかではない、何事?と思えばハッキリと頭が冴え、クロメの見た。



「!!!」


「あぁ・・・はぁ・・・!」

「・・!!」





「・・サクラ・・・せんぱ・・・何・・して・・?」




夜の視界から見えたものは、クロメの上にまたがり自慰をするサクラの姿だった。




「あら?もう見つかっちゃった?」


サクラは夜に見つかると、すぐに自分の服を整えた。
しかし、クロメからどく気はないようだ。

夜はサクラのよすがおかしかったので、助けを呼ぼうとナースコールを押そうとしたが、一枚サクラが上手だった。
瞬時に奪い取られて、夜はベッドから落ちた。


「つ・・・。」



「何痛がっているの?」


夜が上を向くと、クロメのベッドに座っているサクラの姿が、怖く見えた。



「クロメ君はもっと痛かったはずだわ!アンタなんか庇ったばっかりに!」

サクラの言うことは確かにあたっていたため、夜は何も言い返せなく視線をそらした。
しかし、サクラの機嫌は何故だか知らないがよさそうだった。
うっすらと笑うサクラに、夜は恐怖を覚えた。



「もういいのよ夜ちゃん。クロメ君の所にいなくて・・・。サスケ君の所にいってあげて。」
「なに・・いって!!」


「好きなんでしょ?だってクロメ君のことほっぽってずっとサスケ君の所にいたもんね。」
「そんな・・私は!!」


「クロメ君が好きだ何て・・・あなたに言う資格があるの?こんなにクロメ君を傷つけて・・。」


夜は黙ってしまった。
確かに、サクラの言っている事は正しいからだ。
サスケをからかうのが楽しくて、つい調子に乗ってしまった。
サクラも分かってくれるし、クロメもいままでずっと我侭を聞いてきてくれたから大丈夫だなんて・・・
全然大丈夫じゃなかった。


「・・・だから早くサスケ君の所にいったら?私はここでクロメ君と楽しんでるから・・。」
「サクラ先輩・・何って・・・」

サクラは夜を無視して、先ほどの続きをはじめた。
上にまたがりなおして、クロメの顔や首を唇で撫でる。

「・・やめて・・。」


夜の叫びをサクラが聞くわけがない。
今更クロメを返す気はない。
サスケを奪われたのだから、クロメを奪ってやろうとサクラは思った。



「やめて・・・聞いた?クロメ君。サスケ君にベタベタしてた女が変なこと喚いてるよ?」
「・・!!」



「触るな!!」




夜は時間帯に関係なく怒鳴った。


「勝手にクロメに触らないでよ!!クロメは私のものなの!!どいてください!」


夜の叫びにサクラの動きが止まった。
ベッドにちゃんと座りなおして、夜を見つめる。


「それはこっちのセリフだわ。貴方が先に”私のサスケ君”に手を出したのよ。」
「・・・。」


「この泥棒猫。」



夜は何も言い返せなかった。
うつむき、ただサクラの言う言葉に心が砕かれている。



「・・・サクラ・・せんぱ・・。

夜の目の前に居るサクラは夜の知るサクラではなかった。
心優しい素敵な先輩。
夜の憧れだった。

その面影が今はどこにもない。




「夜ちゃん・・。知ってた?貴方はいつもサスケ君と一緒。残された私とクロメ君の気持ちもまるで無視。」


「それにこの関係はクロメ君から始めた事なのよ?誘ってきたのは彼。」


「え・・。」

まさかの真実に夜は驚きを隠せない。


「それに・・・今クロメ君が好きなのは・・・私よ。」


そこには勝ち誇った顔を浮かべるサクラの姿があった。




















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