ノスタルジア  13







サクラの笑みに夜はなす術がなかった。
これからどうしたらいいのか・・・?


一体どこでどうやって道を踏み外してしまったのだろう?


「貴方は・・・サスケ君の・・・不器用さとか、クロメ君にはない優しさが好きなんでしょ?」


今のサクラには何を言っても無駄だ。
逆に挑発してしまうだろう。


「私はここでクロメ君とずっと居るわ。」

「いや!!」

夜はサクラの言葉にヒステリックを起こした。
気付いたときにはもう隠し持っていたクナイでサクラに切りかとしていた。



「・・サクラ・・せん・・・ぱ・・。」


ふとその瞬間二人以外の、低い声が聞こえた。
二人ははっとベッドを見ると、クロメがうっすらと目を覚ましている。
クロメが起きたのだ。


「目・・・覚めたのね。クロメ君。」
「クロメェ・・。」


サクラはすぐに、当直の看護士を呼びに部屋を出て行った。


今は夜とクロメの二人きりだ。
数分間の大切な時間。


「クロメ・・。」


嬉しさに、涙目の夜はクロメに駆け寄った。
しかし、クロメは浮かない顔をしている。

「クロメ?」


クロメはなにも言わずに、夜のいる視界から顔をずらした。

「・・・。」



サクラの言っている事が本当だと瞬時理解した。

夜はなきたくても泣けなかった。
だって二人はもっと辛い思いをしてきたのだと思うと、泣くのを我慢してしまう。



夜は振り向いてくれないクロメを諦めて、部屋のドアを閉めた。

































朝日が昇り、窓を照り返す。


クロメは目が冴えてしまって、外の景色を眺めていた。



そんなクロメの前に一番に現れたのは、サクラだった。


「クロメ君。気分はどう?」
「サクラ先輩・・。」


「無事でよかったわ。」


サクラはニッコリと微笑んだ。
少し寂しそうな感じがしたのは気のせいだろうか?


「クロメ君・・。本当はね、クロメ君が寝てる間私酷い事してたのよ。」
「先輩・・?」



サクラが綺麗な顔で平然と

”クロメ君が寝ている間。私ってら上にまたがって自分を慰めていたの”

「・・・」

衝撃的なサクラの発言に、クロメはなんてかえしたらいいか分からなかった。

「でね、何度目かに夜ちゃんに見られちゃった。その日・・貴方が目が覚めたの。」


本当はクロメを殺して、自分も死ぬつもりだった。
それは心の中にしまっておこう。


「サクラ先輩・・。」
「なぁに?クロメ君?」


「・・・もう、やめましょうこんな事。」
「え・・・。」


クロメから言い出した関係。
ソレを終わりにさせるのもクロメから。
サクラはやっとクロメのおかげで、心の安定が出来たというのにまたあの頃に戻れというのだろうか?













「何今更・・・誘ってきたのは・・・クロメ君でしょ?」

「だから終わらせるのも・・・僕です。」



クロメの決定に迷いはなかった。」


サクラがいくら喚いても、もうクロメは辞めるつもりだろう。



「サクラ先輩・・、僕はもう夜を傷つけるようなことはしたくない。」
「・・・クロメ君。」



クロメはまっすぐな瞳でサクラを見つめた。


「確かに・・・先輩との関係が発覚したとき、僕は夜を責めました。お前がしてるからやり返したんだよって。」


それはサクラにも当てはまることはあるだろう。
サスケはそのことについても気付いてはくれていなかったが・・・。


「でも・・・僕はやっぱり夜が好きなんです。さっき仕返しと言わんばかりにあんな態度取りました。
 けど、僕が好きだと心から言えるのは、夜だけなんです。」


サクラはこの期に及んで惚気を聞くつもりはない。
今更そんなことを言われても困るのだ。
サクラにはもうクロメしか居ないのだから。



「・・・そう・・・ならさっさと・・・・

 意識がないうちに貴方を殺しておけばよかったわ!! 

    そして私も死ねば、少しはサスケ君も、夜も私達の気持ちは分かるはずだわ!!」


「サクラ先輩?!」


サクラのあまりの豹変振りに、クロメは焦ったが、サクラはクロメの声を無視して部屋を出て行った。

サクラ自身こんなこと言うつもりはなかったが、ついヒステリックになり言葉が出てしまった。

クロメは今のサクラは何をするのか分からないので、引き止めたかったが、体が言うことを聞かない。
まだ目が覚めたばかりだ、怪我も治っていない。


「サクラ・・先輩・・。」












バタンと力強くドアを閉めた。
サクラはイライラがおさまらず、病院から帰ろうとした。


「サクラ・・・、今の話一体どういう意味だ。」


サスケの声が聞こえたとたんに、後ろから掴まれた。

「え・・・!!」



サスケもどうやら、クロメの意識が戻ったことを聞いて、こっちへ来たのだろう。
しかし、サスケの気合とは裏腹に、サスケはとんでもない言葉を耳にしたのだ。


”さっさとこ殺して、私も死ねばよかったわ”


明らかにサクラはクロメと心中を図ろうとしたことを伺える。
一体何故?
もうずっとサクラの様子がおかしい。


クロメとの関係を知ったときも、頭に血が上りサクラを責めたが、
それは思いのほかサクラを追い詰める結果となった。


だからサスケは、サクラの精神が安定ししたら話し合おうと決めていたのだ。
今のサクラには何を話しても、無駄だと思っていたから・・。


そんな行動の結果がサクラのあの言葉。




サクラはもうサスケの事が好きではないのだろうか?と伺える。





これではちゃんとサクラと向き合おうと思っていたサスケは、自分が酷く滑稽に見えた。


「サスケ君・・。」

言葉とは裏腹にサクラの顔は少し明るくなった。
なぜ?サスケにはサクラの考えている事が良く分からない。




「お前・・今の話どういう意味だよ?」

「え・・。」

あんなに怒鳴ってしゃべれば、聞こえるのは当然だ。
サスケは怒りを隠せない。
これでは自分が馬鹿みたいではないか・・。
放したい相手が、自分とはもう興味がなくなってるのであれば意味はない。



この翡翠の瞳にはもう写ることはないのか?



「サクラ・・・俺は・・・お前が本当にそんな事を考えていたのなら・・・許さない。」



サスケはサクラの腕を強く握りかえした。


「痛い!!」
「こい!サクラ。」
「ちょ・・何?放して。」


サスケはサクラの腕を引っ張り、サクラを病室へと連れ戻した。
個室の部屋が、音を不気味に響き渡る。

ベッドにサクラの体を下ろした。

プライバシー考慮のため、部屋は防音のつくりになっている。
願っていも居ないことだ。

「何・・サスケ君・・。」

この前の行為を引きずっているのか、サクラが弱弱しくサスケに抵抗した。


「サクラ・・・・お前は一体何を考えて、何をしようとしているんだ?俺にはお前の心が分からない。」



サクラはフッと笑って、サスケの頬を撫でた。


「イヤだな・・サスケ君。ソレは、私のセリフだよ。」





















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