ノスタルジア 16 サスケはすぐに木の葉病院についた。 ここ最近はずっとここに来ている、もういい加減もとの隊に戻りたい。 病院の中に入ると、すぐにサクラの病室に向かった。 あのいのの慌てようだから、一体なにがあったのだろうか? 「サクラ、入るぞ。」 「・・・・。」 サクラは意識はあるが、返事を返してくれなかった。 顔はとても青白い。 サスケと気がつくと、手を伸ばしてきた。 サスケは仕方なく、ベッドの傍までよった。 さっきまでは拒絶していたくせに、この態度の差はなんなのだろうか? 「サスケ君・・・。」 サクラはサスケが傍によってくれたのが分かると、サスケに抱きついた。 本当にサクラが何を考えているのか、わかない。 「サクラ・・お前一体なんのつもりだ?」 サスケはワントーンの低い声で、納得のいかない態度を示した。 「サスケ君・・今のサスケ君にとって私って何・・?」 思いのよらない質問が来た。 少し前なら大切な存在と即答出来ただろう。 しかし、サスケの頭によぎるのは、クロメとの濡れ場と拒絶するサクラの姿だった。 サスケはサクラの腕を放し、遠ざける。 「別に・・・なんとも・・・。」 冷たくあしらう。 これでもう終わりだりだう。 もう・・・おしまい。 「そっか・・・でもね、私はサスケ君のこと大好きだよ・・。」 「お前、何を今更そんな事いうんだ?」 行動が無尽してる。 それにサクラの息が少し荒い。 そういえば血色が最悪と言っていいほど悪い。 それに少しこの病室がなにかおかしい。 「そっか・・・ね、サスケ君、最後に一つだけ質問していいかな・・・?」 「なんだ?」 サクラは両手をサスケの頬に当てる。 サスケの嗅覚が狂った。 血なまぐさい。 病院だから、時と場合により血の匂いはするだろう。 でも、個人の病室で血の匂いがするのはおかしい。 でも、何故? 「サクラ・・・。」 サスケはサクラの手を握った。 そういえば、右の頬がなんかまとわりついている。 サスケは手にとって見てみると、それは紛れもないサクラの血だった。 「おい!サクラ!!」 サクラはサスケの声を聞かぬまま、質問の続きをした。 「ね・・・どうして・・どうしたいつも・・いっつも・・・・・・・」 「サクラ・・・・」 サクラの力が段々と抜けてくる。 明らかに出血多量だ。 「サスケ君・・の・・そ・・ば・・」 「おい!もう、しゃべるな!!」 サクラは傍にいるのは何故夜だったのか? そう言いたかったが、もう声は出ない。 それどころか瞼が思い。 あぁ・・もう駄目だな。 サクラはニッコリサスケに微笑んだ。 言いたかった。 最後にまた・・・ この世で一番好きだと。 途中でおかしくなってしまったけど、今までずっと築き上げてきたこの思いは本当に好きだった。 ただ気付いて欲しかった。 サスケに気付いてもらえない寂しさを、わかって欲しかった。 でも、もういいのだ。 サクラの人生はもう終わる。 出血多量なんて見っとも無い死因だけど、もういいや。 体中の力が抜けていく。 サクラは引力のまま。ベッドに倒れ込んだ。 出血の量がハンパではない、なんで今まで気付かなかったのか? サスケはすぐに、ナースコールを押して、緊急処置をお願いした。 緊急手術室にサクラは運ばれた。 サスケは廊下で待つことにした。 しかし、綱手が長くなるから帰れと言われ、納得がいかないが帰ることにした。 きっとサスケの顔色も悪いのだろう。 まさかこんなことになるなんて、思っても見なかったからだ。 家に居ても落ち着かなかった。 明日また一番に病院へ行こう。 連続病院通い記録が出来そうだと、嫌な記録が塗り替えられる。 「何なんだよ・・・。俺だけ追いていきやがって・・・。許さねぇぞ。」 意識が朦朧とした。 チャプンという水音が聞こえた。 浮遊感がある。 サクラはゆっくりと目が覚めた。 (ここは・・・どこ・・・) その場所には何もなかった。 サクラは体が浮いているような、不思議な感覚に囚われた。 俗に言う、臨死体験というものだろうか? 花畑が見えるだの三途の川だの、そういった類のものだろうか? サクラの景色は明るいが、何も見えない。 先にもっと明るい光が見えた。 サクラはその光の方へ進もうとした。 ”そっちへ行っては駄目” ふと耳に誰かの声が聞こえた。 振り向いても誰もいない。 また進もうとすると同じく、進むのを阻もうと声がする。 ”そっちへいったらもう戻れなくなる” サクラは渋々、声の言うとおりに従った。 ”そう・・それでいいの、暫くここに居れば大丈夫よ” サクラの居る景色が変わった。 花畑に変わった。 そうだ・・やっぱりコレは臨死体験と確信した。 じゃぁ、まだ自分はまだ死んでいない。 生死を彷徨っているのだ。 で、行っては行けないところは、おそらく死の世界。 踏み入れたら最後、戻れないのだろう。 それは死を意味する。 (・・・・また・・・戻れるのかな?もういいやって思ったけど、こうされると・・・戻りたくなるな。) ”大丈夫、いつになるか分からないけど、一緒にここに居よう。時が来るまで” (そうだね。) |
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