ノスタルジア 17 サスケは、朝一番に起きて病院へ向かった。 一目散にサクラの病室へ入ると、そこにはもういの、シカマルにクロメ、夜もいた。 いのは泣いているのか、シカマルに支えられていた。 夜も今にもなきそうな顔をして、クロメはサスケと目が会うと、ばつが悪そうに目を逸らした。 もしかし・・・・ 「サスケ君・・。サクラが・・」 いのはサスケにサクラの状況を伝えた。 病室に居るという事は、死んではいない。 そうだったら霊安室に、今頃いるだろう。 サクラは眠っていた。 サスケは少し安心したが、いのの言葉がその安心を制した。 「サクラ・・・意識が戻るのはきわめて・・ないって・・・クロメ君の時より重症らしいの。」 いのはサスケの胸倉を掴み、渾身の力を振り絞って、拳をサスケにおみまいした。 平手打ちじゃ物足りない。 でも今の一発でも、今のいのには足りないくらいだった。 「おい!いの!!」 突然のことで、サスケはよろけて、膝を突いてしまった。 不意打ちだ。 でも何でいのに殴られなきゃいけないのだ? 先に裏切り行為をしたのは、サクラの方なのに・・・。 「なに呆けた顔してんのよ!!サクラの痛みはこんなもんじゃないわよ!」 いのはなきながらサスケに訴えた。 何も分かっていないのは、夜とサスケ。 まだ分かっていないのは、サスケ一人。 「サスケ君・・・なんでこうなったのか分かる?」 「サクラ・・ちゃんとサスケ君に訴えていたのよ?どうして気付いてくれなかったの?」 「じゃぁ、お前はサクラが・・・・なんて言っているのかわかるのか?」 全然理解していないサスケに、いのはもう一度殴りたかったが それでは何も解決にならないと、言い聞かせて冷静になった。 「サスケ君・・・ずっと今までサクラと居て・・変わったことなかった?途中で居ないことに気付かなかった?」 いのの言葉に、サスケはハっとした。 そういわれてみれば、そうかもしれない。 ・・隣に居たのは・・・サクラではなく・・・・・ 夜だ サクラは彼女だ。夜は後輩。 分かってくれるだろうと、サクラも何も言わなかったし、横で笑っていた。 だから大丈夫だと思ったんだ。 でも、それから隣がサクラではなく、夜になっていた。 そうか・・・サクラは・・・ サスケは今理解した。 「う・・うぅ・・ごめんなさい・・サクラ先輩。」 夜は、サクラに泣き付いた。 しかし、サクラはピクリとも起き上がらない。 これが現実。 クロメは、夜をあやして、病室から夜を出した。 無論クロメもだ。 今自分達はここに居るべきではない、クロメはいのとシカマルに会釈して出て行った。 「・・・夜は・・いつ気がついた。」 「クロメ君が大怪我したとき。こっぴどく私とサクラの制裁受けてるわよ。」 二人して、ない失ってから気がついてんのよ馬鹿。と罵った。 図星の為にサスケは言い返せなかった。 「ちょっと考えれば普通は気付けるはずだわ。どうして?サクラは・・・サクラはずっと前から!!」 「いの!だから落ち着けって!!」 シカマルはまたサスケに殴りかかりそうな、いのを止めた。 放せというような態度でいのは、シカマルから逃れようとする。 「もう何ヶ月も前から・・・どんな思いで・・どんな気持ちでサスケ君と横に居た夜を見てきたと思っているの?」 そう、それはサスケが、きっとサクラとクロメの現場を見た時と同じ気持ちだろう。 確かにいたたまれない。辛い、苦しい。 サクラはそんな気持ちを、ずっと抱えてきたのだ。 どうしたらいいか分からなく、同じ感情を供給したクロメに縋った。 それが分からなかったのはサスケの罪。 気付かぬとは罪だと誰かが言っていた。 まさしく今の自分の事を言っているようだった。 「・・・湖に身を投げた時点で、気付かなきゃいけなかったのよ!ここまできて・・・ここまでしないといけないなんて・!!」 いのは最低と叫んで、泣きながら走っていった。 シカマルは慌てていのを追いかけていった。 自然とサスケとサクラの二人きりになる。 サスケはどうしたらいいのか分からなくて、ただ立ちすくしていた。 「おや、いるのはサスケだけかい?」 サクラの様子を見に、綱手が入ってきた。 「火影・・・様・・。」 「丁度よかった。さっきの付け足しにきたんだよ。サクラ今は薬で眠ってる。」 「じゃぁ・・。」 しかし、綱手は言葉を続けた。 「まてまて、まだ話は終わっていない。薬が切れるのは大体午後の3時過ぎ。」 「はぁ・・」 「で、そのまま眠り続けたとしても、明日には目が覚めるのが普通だ。さっきいのから聞いたろ?」 「はい。」 意識が戻る確立が低い・・。 「サクラはいつ覚めるのか私も予想がつかない。もしかしたすぐ効力が切れたら覚めるかもしれない。 もしくはずっと・・・このままか・・・明日になってみないと分からん。」 綱手がそういうのだ。本当のことなのだろう。 綱手の言っていた約束の時間になった。 本当はすぐにでも目が覚めて欲しい。 でもこの状況、綱手はすぐには意識は戻らないだろうとふんでいた。 時計を見るとあと数分で三時だ。 サスケはサクラの手を握り締めた。 こうやって手を握ってあげるのは、いつ振りだろう? 本当にいのの言うとおりだ。 こうやってサクラを触れ合うのを、ずっとしていなかった気がする。 しえいたのは、空しい暴力。 暫くして効力の時間が過ぎた。 まぁ、大丈夫だろうとサスケは、楽観的に考えようとしていたが、怖くなってきた。 「サクラ・・・目を覚ませよ。」 そう言わなくてはいけない事が、たくさんあるのだ。 サクラの手を握る手が、強くなる。 酷いことをした たくさん傷つけた。 心をズタズタに引き裂いて 肉体的暴力までしてしまった そして最後の言葉は”なにを今更” 今思えば、傷つけた記憶しかない。 「サクラ・・・・頼むから・・。」 ひところ詫びの言葉を言わせて欲しかった。 許してもらえるか、わからない。 でも、言わせて欲しい。 ごめんていわせろよ。 「サクラ・・・何やってんだよ。俺のこと好きなんだろ?」 サクラはうんとも、すんとも言わない。 ただ規則正しい寝息が聞こえるだけ。 「サクラァ・・・。」 サクラは、綱手も見込みどおり、何日たっても決して目覚めなかった。 |
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