ドッペルゲンガー?!  1




「三橋!!ラスト5球!」

「・・う、うん!!」


西浦高校の公式野球部は今日も元気に活動していた。
別になんもからない部活風景だった。



阿部はボールを三橋に返すと、三橋はもう一度振りかぶってミットめがけて投げようとした。
しかし、何かが今日は違っていた。

明るい。
今日は快晴、明るいのは当たり前なのだが、明るすぎる。
むしろ光っている。おかしい。


「・・!!三橋?!」


三橋の頭上が光った。何かが落ちてくるのが分かる。
このままでは三橋が危ない!

「三橋、危ねぇ!!よけろ!!」


「へ?」


三橋は頭上を見上げると、大きな光の中におおきな影が見える。
結構大きい。

阿部はよけさせようとしたが、落ちてくるものの方がスピードを上回っていた。



「わーー!!」


ドガン!!

と大きな音がした。


「三橋!!・・・は?!」


三橋の横にもう一人いる。
よく見ると三橋・・・?


「いた・・・いたい・・・・。」

「おい!三橋大丈夫かよ!!」

「あ、阿部君・・。」


「ん・・・いったい〜。」


「「あ」」



三橋と、横にいた人物が目が合った。


「え・・・俺?」
「・・・うそ・・私?」


よく見ると、そこには三橋と瓜二つな少女がいる。
おいおい、これはどうなっているんだ。
俺の三橋とそっくりな女の子がいる。


「お〜い!どうしたんだ?」


花井が二人の異変に気付き、走ってきた。
他の部員も興味本位でよって来る。


「わ!!スッゲー!!三橋そっくっり!なんだ三橋って女兄弟いたんだ!」

「「え・・・俺(私)一人っ子・・だよ。」」


声が重なった。
三橋と女の子は互いを見合わせた。


「「君だれ?」」

二人同時に互いの頬を触る。

「「どう見ても俺(私)の顔・・」」

「お・・俺、三橋廉だ・・よ。・」

「私・・・私だって、三橋・・・廉。」


周りはガヤガヤと双子だの、親戚だの騒いでるが、どうみても三橋本人。
あれだ、あの光だ。あれが原因だ。
なんかのパラレルワールドみたいに、女の三橋がこっちにきちまったのかよ!






一時部活を中断。
部室に入ると、三橋二人を囲って部員が座る。


「ようするに・・君は女の子だよね。名前は三橋廉、これでいいんだよね。」
「うん。」

事情を聞き、花井が要約してまとめる。
田島はさっきから、もの珍しそうにジロジロみて、怯えた女の三橋は三橋の後ろに隠れる。

「大丈夫だよ。田島君・・いい人だよ。」

「私のしってる・・田島君・・・。下品な事ばっかり言ってるから・・・嫌・・。」




女の三橋の言葉に田島は、胸にグサっときたのかショックを受けていた。
まぁ、女子からみたら田島は下品なヤツの部類に入るだろうな。
特にこんな気弱な女の子じゃな・・・無理は無い。



あぁ見れば見るほど三橋そっくりだな。
可愛い、可愛い・・カワイイ・・・
いや、三橋も可愛いけど、そうか、女の子になるとあんな感じになるんだな。
阿部を初め、他のナインもジロジロと女の三橋を見ていた。



「阿部、お前さっきから何ボーっとしてるんだよ。」

お前もどうすればいいか考えてくれよと花井にぶつくさ言われた。
仮にも、阿部は副キャプテンだった。



「なぁ、花井。」
「なんだよ阿部。」

「あれは天使だな。」

「はぁ?!」

唐突に阿部は変なことを言ってきた。
もう栄口に相談したほうがいいなと、栄口によろうとしたが、阿部のマシンガントークは止まらない。



「神様がきっと俺にプレゼントしてくれたんだぜきっと・・。」

「阿部・・お、お前落ち着け。」


阿部は三橋と初めて投球を受けて、目を輝かせている時よりもっとキモかった。
もっと目が輝いているのだ。
花井は嫌な予感がして口元を抑えようとしたが遅かった。


「はやくさっさと押し倒して、俺色に染めて孕ませてやりたい。
 ダブル三橋丼なんて神様も気前いいプレゼントしてくれるじゃぇか・・・・・・」

「阿部、お前もう黙れ!!」















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