ドッペルゲンガー?!   2








「とりあえず、三橋!」

「「何?花井君??」」


花井の呼びかけに、男と女の三橋はハモりながら返事をした。

「そういえばどっちも三橋だよね。」

「なんかニックネーム決めたほうが良くない?」

他の部員の意見により、まずは二人の名前をどうするかそれから決める事になる。


「三橋廉だろ〜?」

「レンレン?」

「お・・・俺ヤダ。」
「ルリから私、い、われててるよ。”レンレン”みんなも、そう呼ぶ。」

「みんなって?」

”みんな”という言葉に阿部が反応した。
ここでは”レンレン”は従兄弟のルリしか使っていない。


「・・・えっと。」
「教えて、大丈夫。」

縮こまる”レンレン”を諭すように、栄口が大丈夫だよと促した。


「い・・泉君と水谷、君と・・・ルリ、修ちゃん、あと・・・浜ちゃん。田島君は・・たまに・・。」

”レンレン”は指を折りながら、自分をレンレンと呼ぶ人の数を思い出した。
浜田の名前が最後だったのか、それで終わりと継げた。

「じゃ、女の子の三橋はレンレンでいいよな?!」

田島はさっきのショックから復活したのか、いつもの調子に戻った。
とりあえず一応なっとくし、三橋はそのまま三橋でと決定した。

「おい、クソレ!お前何、調子コイて、レンレン呼びしてるんだよ!」
「し、知らないよ!確かに”水谷君”だけど、それは俺じゃなくて・・」
「ツマラン御託はいい!!」

「きゃ〜ぎゃ〜〜!!」


「阿部、落ち着け!三橋とレンレン怖がってる!!」


泉の言葉に、阿部はピタっと水谷へとこうとした拳を止めた。

良く見れば、三橋とレンレンはお互い抱き合って、涙ぐんでいた。


これはなんていったらいいのだろうか?
形容詞しがいたい可愛いさである。
それは阿部だけじゃなくて、周りにいく部員もそう思った。


「もう平気だよ。三橋、レンレン。な?」

「そうだぜ、阿部なんて、無視してればいいんだよ。」


栄口と泉がもう大丈夫だと、二人の背中を撫でた。


「・・・えっと大丈夫?レン・・・・ちゃん?」

三橋はまだこっちの阿部に免疫があるから、ダイブは慣れてきたが、レンレンにはない。
完全に怯えきっていた。

「ふ・・・ん・・・ヒック・・。」

目には涙がたまり、完全に怯えて泣いている。
あぁ、こりゃ駄目だ。と一同心の中で思った。
普通の女子ですら、阿部のあの怖い印象は近寄りがたい。

キョドリグセと人見知りする三橋なら、女の子になったらそれは倍になるだろう。



「大丈夫?レンちゃん。」

「うう・・レン君・・。阿部君は怖いけど、こっちの阿部くんはすっごく怖くてキモイ・・・!!」



「・・・・〜〜・・!!」


「あ・・阿部?!」

「ちょ・・・どうした?」


レンレンの言葉に、簡単に阿部は撃沈してしまった。
未だかつて阿部を撃沈させる人物なんていなかっただけに、みんな驚いている。

それほど”キモイ”発言が聞いたのだろう。

三橋を含めてレンレンを尊敬の眼差しを送った。



「レンレンってすっげぇ!!」


田島の叫びだけが部室内に響いた。


「??」


レンレンはどうやら、自分の言葉で阿部が倒れた事を自覚してないようだ。










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