ドッペルゲンガー?! 5話






流石に三橋二人を学校に行けることなく、昼間は女の子の三橋は家で大人くしていた。
が、このまま家にずっといても暇をもてあます。


「と、いうわけで、期間限定の臨時マネジで〜す。」


部活の時間突如現われた、廉はいま百枝に肩をつかまれてぎこちなく笑っていた。

どうやら、百枝は事の次第を知っていた。
花井辺りから聞いたのだろうか?

「・・。よ、宜しく・・。」

「ソレは俺達構わないけど・・。」

「だって、せっかく向こうの世界でもマネジやってたんでしょ?」

百枝は新しいマネジにキャーキャーして、廉を見渡す。
篠岡とは違うタイプの女の子だから、可愛くて仕方ないのだろう。


「で?三橋さんは向こうでも投げてたの?」

「ソ・・・ソフト!!」

「ふむふむ、ソフト部ね。千代ちゃんと同じかじゃ、帰れる日まで宜しくね。」

「は・・ハイ!」

どうやら百枝はあまり細かいことは気にしないらしい。
逆に人手が足りないマネジが増えて喜んでいる。

篠岡も一緒に話してる辺り嬉しそうだった。
百枝や篠岡、三橋の両親といい、どうやら周りの反応はそこまで唖然としたものではなかった。
驚きすぎた自分はおかしいのだろうか?

花井は少し胃をさすりながらキャッチボールを続けた。
突如現われた、己の投手と瓜二つの女の子。
三橋と同じ名前で、生い立ちや通っている学校まで同じだった。

もとのところに帰れるまでとは限定をかけてるが、こっちが呼び出したわけでもない。
だからって廉も自分からここに来たかったわけでもない。

「はぁ・・。」

西浦高校硬式野球部の不安要素はまた一つ増えた。

花井は本当にこれでいいのかと人一倍大きなため息をはく。
唯一の西浦の良心栄口は、花井と同じ心境のなか、他の部員はそうでもならしい。

全くもって能天気すぎた。
特に阿部。
その気持ち悪い笑顔を何とかしろ。ていうか、部活に集中しろ!さっきからどこを見ているんだ。

頼むから、頼むから!

誰かなんとかしてくれ!!


「お〜い、花井!あんまり考えすぎるとハゲるぞ♪」

「お前達が能天気すぎるんだよ!!頼むから事の重大さをもっと真剣に考えてくれ!!」


花井の叫びがグランドに響くが、栄口以外の人間にはあまり効果が無いようだ。




「花井君・・・ちょっと考えすぎだよ。」

「篠岡、お前まで!!」

「だって、ここにこれたった事は、帰る事もできるでしょ?」

「し・・篠岡さん・・す、スゴ、い!!」


まさに正論。

「だから帰る時になったら自然に帰れるよ。だから今はここを楽しんでね。」

「うん!!」


当の本人三橋廉でさえ、気にしていない始末。

「栄口・・俺、おかしいのかな?」

「いいや、俺は花井のする行動の方が一番まともだと思うよ。」


主将と副主将の一人栄口はお互いに肩を叩いた。











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