まだら模様のカーネーション    8




中間試験も無事に終わり、そろそろ夏の大会に向けて本領発揮となってくる。
6月に入ると、県内では夏の大会に向けての予選抽選が行われる。


本日野球部は公欠をとり皆で予選会場へ向かう事となった。
一足先に、選手達が着いた。
百枝がバイトが終わり次第、抽選会場に向かうと連絡が入り、
篠岡と、三橋はどうやら周りの選手の偵察にでも言っているようだ。
さっきからすがたが見えない。


阿部達が入り口を並ぶ中、あたりを見回すと圧倒される。
周りはみんな2・3年生が多く、新設の西浦メンバーがとても小さく見えた。

一番大きい花井は、181cmあるが、横が細い為、まだまだに見える。
田島が”俺達みんな1年”発言で、周りに新設だという事が知られてしまう。


栄口は緊張してお腹を壊してしまったようだ。
阿部が呆れて、トイレへと促した。


栄口は先に中に入ることにした。










「暑いね今日は!。」

「うん・・・もう夏だ、ね。」


篠岡に連れ回されていた三橋は、やっと会場内に入ることが出来た。
篠岡は他学校の制服をチェックするのが好きらしく、さっきからキャーキャー騒いでいた。

男子の制服なんて、どこも同じように見えるがそうでもないらしい。
で、時々一緒にくっついているマネージャーの制服も細かく見ていた。


「篠岡さんって、制服・・好き?」

「うん、好きだよ〜。そういえば、廉ちゃんの制服可愛いよね。あの白のブレザー!」


白いブレザーはなかなか見たことない。
汚れやすいから、どこの学校も採用されてはいないが、三星学園はそんなこと考えなく
デザインを重視に制服をデザインされていた。

三橋は高校はそのまま、中学の制服を着ているのである。


「うん・・・みんな真っ白・・だよ。」

「そうなんだ。あ、ちょっとトイレ寄っていい?」

「うん・・わ、私・・も!!」

「そうだね。もうすぐ始まるから急ごうか?」







鏡の前で、前髪を正した。
暑い季節が始まると、三橋のように髪の毛の長い女の子にはうっとおしい季節となる。
毎年夏で髪の毛を切ろうと思うのだが、中学は瑠里と叶に止められた。

今年は部活も入ったし、切ろうかなと考えていた。
そのときだった。



「すみません。申し訳ないんですけど・・・。」


「??」


扉を開けると、他校の男子生徒だった。
そういえば、どっかで見たことある。


「あれ・・む・・武蔵野・・。」

「あ、君この前の!!この前はうちの榛名がごめんね。」

「いえ・・大丈夫・・です。」

「そっか、それならよかった。あ、じゃなくて、あのね、男子トイレ紙がなくなちゃって、女子の方わけてくれない?」

「はい・・!!」

三橋は用具室になっている扉を開けて、トイレットペーパーを2個取り出した。
急いで入り口にいつ男子生徒に渡した。

「ありがとう。じゃ、また会ったらね。」

優しい笑顔を見せて、男子生徒は帰っていった。





「あれ・・廉ちゃんどうしたの?」

「!!・・あ、あんでもないよ。」

「顔・・真っ赤だよ?」

「え・・は、本と、だ。」

「あはは!おっかし〜。」





トイレから出ると、この前試合であった武蔵野の二人にあった。


「「「「あ・・!」」」」

「さっきはありがとうね。」

「いえ・・わ・・私こそ!!」


秋丸はまた律儀にお礼を言う。

「なんだ?秋丸。フワフワとなんかあったの?」

「さっき紙とってもらったのこの子なんだ。」

「へ〜。そういえば、個室にいたのって誰だったんだ?」

「下手に詮索しないほうがいいよ・・・榛名。」

「ま、そうだな!で、フワフワ、お前アドレス教えろよ。」


春名は懲りずに、三橋に携帯番号を聞きだす。
恥かしいからやめてくれと、秋丸の言葉も聴かない。

春名は、三橋のスカートのポケットから携帯のストラップが出ているのを見つけた。
それを無理矢理取り出す。

「ひゃ!!」

「榛名!!」

「いいじゃんよぉ。別に!」

良くない!と秋丸の怒鳴り声が響いた。
こんな関係者だらけのところでナンパなんてとても恥かしい。
秋丸はため息を就いて、もう他人の振りをして先にホールに向かった。


「あ、ちょっと待てよ。」


「あわわ・・」

携帯がハルなの手元にあるため、三橋はどうしたらいいのかわからない。
隣にいる篠岡は篠岡で、これは誰かと連絡を取って助けを求めたほうがいいのか?
と一人ブツブツ混乱していた。


「と、これでよし!!」

榛名は三橋の携帯と自分の携帯を取り出して、概に赤外線で登録が終わっていた。


「じゃちゃんと俺のメール返事よこせよ?」


榛名はそう言い残して先に行っ秋丸を追いかけていった。


「なんか・・・嵐のような人だったね。」

「うん・・。」


三橋は、とりあえず、携帯をポケットの中にしまった。


「廉ちゃん・・・。」

「何・・。」

「この事、阿部君には・・・」

「言わない・・怖いもん。」

「だよね・・・。」



ここで、女子マネージャーの秘密の約束が出来た。


♪〜♪〜♪



突如、篠岡の携帯がなる。
待ち受けをみると、百枝からの着信だた。
どうやら先程、バイトを終えてこちらに向かっているようだ。


篠岡と三橋は入り口まで戻って、百枝を迎えに行った。
ちょうど、入り口に着いたとき、遠くから百枝の姿が見えた。


「ゴメンね。千代ちゃん。廉ちゃん!さ、行こうか!」


普段見慣れないスーツ姿に身を包んだ百枝は、二人を引っ張る。
ホールでは既に抽選が始まっていて、半分くらいトーナメントのパネルが当てはめられている。


「あらら・・浜田君。すごいところひいちゃったわね。」


目のいい百枝は、すぐに西浦のパネルがどこにあるのか分かった。
85番桐青高校。84番西浦高校。

「こりゃ、さそくビシバシやんなきゃね。」



案の定、桐青を引いてちょっと西浦のスペースのオーラが暗い。

泉辺りが諦めモードに入っているのを百枝は見逃さない。
弱気はダメ!!と頭を握った。


去年の優勝高校と当たったのだ。
みんなが、嫌な感じになるのは仕方ない。

勝てないかと勝てるはずと田島と阿部は言うが、みんなはどうやらついていけないらしい。
しかし、ここで仕方ないと簡単にあきらめちゃいけない。
阿部の戦力どおりで行こうと、百枝は言い切った。


そして・・・





「5時集合にしましょう!」





百枝の本気に、みんなの目が本気になる。
よし、コレでみんなの弱気を吹き飛ばす事が出来た。


「す・・・すごい。」





西浦の本気モードが始まる。




















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