好敵手は美しい女だった   1





ガチガチと金属同士がぶつかり合った音が辺りを騒がせる。
雲雀のトンファーと、骸のトライデントが一歩も譲らず互いにせめぎ合う。

毎度毎度のこと、最近は骸は雲雀からの挑戦にうんざりしてきた。
合うたびに『噛み殺す。』と愛用の武器を構えてくる雲雀に、
骸は少々いい加減にして欲しいと思い始めていた。

回りももう、いつもの事だと段々気にかけてもくれないほどだ。
唯一建物の心配ぐらいしかもうしていないだろう。
戦っている場所が並盛中の屋上だ。
何かあれば、風紀員会がなんとかするだろう。

綱吉達ももうこの場にはいない。
もともと今日、骸達はリボーンに呼ばれて仕方なくきたのだ。
戦いをするためではない。
こうなってしまった以上、用件は千種達に任せてしまったのである。

(・・僕が雲雀君に負けるまでずっとこのままなのでしょうか?)


勝率はずっと引き分け続き。
殆どが、途中で中断されてうやうやになっている事が多かった。
今日で何戦目になるか、数えるのも面倒なくらいだ。
しかし、今日に限ってギャラリーはいない。


雲雀も骸も本気を出していた。


「全く・・君は飽きませんね。」

「つべこべ言わないで、全力でかかってきてよ。」

「おや、してるじゃないですか!」


話している雲雀に一瞬隙が生じ、そこを狙って骸が動いたが雲雀は上手くかわした。

「ワォ、そうこなくちゃ。」

雲雀は口角を上げて笑う。
二人が戦いはじめてから大分時間が経った。
五分五分の動きに、多少変化が見られた。

骸の動きが少々鈍くなり始めた。


「ク・・!!」

「もう限界?」

「まだまだ!!」


そう言いつつも向かっていくが、雲雀は余裕でかわす。
雲雀はまだ余裕らしい。

(これは・・マズイですね。早く決着をつけなくては・・。)

骸は息が上がってきた。
反対に雲雀はまだ息一つ乱していない。
重くなってしまった体を奮い立たせて、骸は右の目を一に変えた。

(幻術を使って、そのスキに・・。)

「悪いけど、そうはいかないよ。」


骸の幻術が発動される前に雲雀は素早く骸に攻撃を仕掛けた。
とっさの事に、骸はよけれずにトライデントが弾かれた。
その一瞬の隙を雲雀は見逃さない。

丸腰になった骸を思いっきりトンファーで叩き付けた。
連続攻撃に入り、次に思いっきり殴りつければ骸は飛ばされ、壁に激突した。


衝撃が強かったのか、骸は起き上がる気配が無い。
よく見れば骸は気絶していた。
雲雀は念願の勝利にクスっと笑う。


「このまま、この前の借りをかえさないとね。」


大怪我をさせられ入院まで余儀なくされた体。
今度は骸にも同じ痛みを味わってもらおう。

気絶している骸に、雲雀のトンファーの衝撃が走る。


ガキンとその動きは中断された。



「どういうつもりなの?君たち。」


間一髪のところを、千種と犬、クロームが雲雀を止めた。


「もういいだろ、雲雀恭弥?勝負はついた。」

千種が一歩でも動けば、毒針をさすと無言で威嚇する。
犬も獣のの爪を雲雀の首に潜ませ、クロームは骸を庇うように前に立っている。

「何を言ってるの?僕は噛み殺さないと気がすまないんだよ。」

同じ屈辱を味あわせるまで、勝負は雲雀の中ではついていない。


「僕の邪魔をするなら、君たちも噛み殺すよ。」


骸を庇おうと、千種たちは雲雀の前に立ちはばかるが、
雲雀の異常な強さに返り討ちという結果になってしまった。
クロームも気絶、千種と犬は意識はあるが、一歩も動けない状態だ。

雲雀は起き上がる気配のない骸に一歩一歩近づいた。

「アヒル!!お前、骸さんに手をだすなびょん!」

「くそ・・骸様・・。」


二人の制止の声など耳に傾けることなく、雲雀は骸にトンファーで叩き付けた。


「あ”ぁぁぁぁぁあああ!!」


衝撃と痛みで骸の目が覚めた。
あまりの痛みで骸はうずくまっている。

「ねぇ、これだけダウンなの?拍子抜けだよ。」


「やぁ!!」

雲雀の骸に向ける攻撃は止まらない。
一発一発殴り、蹴る度に骸から悲痛な叫びが口からです。


一度手を休めると、骸はおなかを抱えて震えていた。
雲雀の仕打ちに耐えるように、小さな声が漏れている。


何か違和感がある。


犬は見てられなくなり、視線を逸らして目を瞑っていた。
一方、千種は雲雀を睨み付けたままでいる。

「雲雀恭弥、もうやめろ!十分だろ?」

「君の指図は受けないよ。」


雲雀は骸の前髪を掴むと、そのまま引っ張る。


「きゃぁ!!」

「ワォ、何君女みたいな声上げてるの?」


気味悪いよと、また地べたにたたきつけた。

「ぁぁあああ!」


骸を見れば、目尻に涙がたまっている。
よほど痛いのだろう。

「へぇ・・君が泣くなんて・・・。」


うう・・と泣くのを堪えるように骸の肩が震えている。
もう一回殴れば、女のような悲鳴が響いた。


「さっきからなんて声だしてるの?」

骸は何も答えない。
さっきから外野はヤメロと煩い。


さっきの違和感が大分大きくなってきた。


雲雀の頭の中に、一つの可能性にたどり着いた。

「ねぇ・・・・・。」


雲雀は骸の学ランを脱がした。

「!!!」

これは流石の骸も驚いて、必死で抵抗する。

「な・・何するん・・で・・」

「これで抵抗しているつもりなの?」


弱りきった骸の抵抗など、抵抗のうちに入らない。
雲雀はある一つの考えが頭をよぎった。
それを確かめたいだけだ。
迷彩柄のシャツを真ん中から破けば、肋骨から胸もとまで包帯みたいなものが巻かれていた。


「いやぁぁ!!」


この嫌がり方。この恰好。
予想はついたが確信するまで、雲雀を行動をやめない。
ビリビリと骸の体に巻かれえいるものが破かれれば、目に見えたものは男にはない物が目にはいる。


「ワォ、やっぱり・・・。」


骸の体は雲雀とは違う、対の性別の体だった。
骸は恥かしくなって、腕と手で自分の胸元を隠した。
さっきの戦いのせいで、痣があちらコチラ見えるが肌はキメ細かく白くて柔らかだった。
胸も膨らみを帯びていた。
さわり心地よさそうに、綺麗な形をしている。

「手、邪魔だよ。」

「あ・・!!」

片手で骸の両手首を押さえつければ、たわわに育った果実が顔をだす。
骸は顔向けが出来なく、この羞恥に耐え切れなくなった。


「噛み殺さないんですか?」

「・・・もうしたよ。」

「女だからってナメてるんですか?」

「別に・・君が僕より弱いとわかったからもう十分だよ。」

パっと雲雀は骸の手を放した。
骸は侮辱されて、雲雀に殴りかかる。

「フザケるな!!」


骸の拳は簡単に雲雀に止められてしまう。

「無駄だよ。君は僕に叶わない。」

「そんな事・・・。」


骸は渾身の力を込めて、雲雀に拳を向けているのに対し、
雲雀は少しの力しか入れていないのだ。

「ホラね。君は今全力で力を入れているの対して、僕は少ししか入れてないよ。」

「ううぅ・・。」

骸は顔を下に向け、震えだす。
地面にはポタポタと水滴が現われた。

あの骸が泣いてるのだ。
今度は我慢しないで、弱弱しく・・・。

「ちょっと泣かないでよ。」

「う・・泣いて・・なんか・・。」

「泣いてるでしょ。・・・・・・!!」


両側の頬を手に当てて顔を見れば、骸の顔は涙でいっぱいになっていた。
目が潤んで、しゃくり上げながら泣く姿は女の子の姿以外形容できるものがない。
顔は赤く、潤ませた瞳は色気を増している。

雲雀は思わず背筋がゾクゾクとなるような感覚に陥った。
思わず骸の涙をぬぐおうとした自分に気が付き、我にかえって手を引っ込めた。
綺麗だなと思った自分に不覚を覚える。
いや、もう手遅れかも知れない。


「雲雀君・・僕の事馬鹿にしてるんですか?」

「してないよ。ホラ。」

「え・・・!」


雲雀は自分の着ていた学ランを骸に着せた。
それからいきなり骸を抱えて運び出す。

「ちょっと・・・何するんですか?!」

「何って・・傷の手当てだよ。」

「いりません!下ろしてください!」

「・・・・思いっきり力を込めて叩き落してもいいんだよ?」

「・・・。」

雲雀がそう言うと、さすがの骸も大人しくなった。
本気でやりかねないから、今は大人しく従っていたほうがいいかもしれない。


「どういう風の吹き回しですか?」

「別に単なる気まぐれだよ。応接室に行こうか、さすがにここの保険医は僕は嫌いだからね。」

「その意見だけは僕も同感ですよ。」

「ちゃんと掴まっててよ」

「・・・わかりました。」


雲雀の腕の中で骸は大人しくなった。
雲雀がニヤリと笑うとそのまま歩き出す。

室内へ繋がる扉の閉まる音が聞こえた。

好敵手は美しい女だった。








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戦闘シーンが上手く書けずにひっちゃかめっちゃかでした。
ニョタムクが男装してて、女の子だってバレるのはやぱり戦ってる時の
とっさの事で女の子みたいな行動がででしまうんじゃ無いかな?的な・・
敵の武器で服が破けて・・っていうのも有りですよね!

千種と犬は暫くして動けるようになったら、クロームを連れて先に帰ってしまうんですよ。
で、着替えを並盛の応接室に持ってきて、骸様返してもらいますといって
連れて帰ればいいと思います。
雲雀さんはイヤイヤながらも骸を返しますが、この日を境に骸への態度が変わって
皆を驚かせればいいと思います。

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