好敵手は美しい女だった   2




骸を抱きかかえる。
今歩いている廊下には誰もいない。

ゆっくりと雲雀の足音だけが廊下に響いた。


応接室へたどり着くと、ゆっくりとソファに骸を下ろした。


「ちょっと待ってて。」

雲雀は棚から何か探しているようだ。

「あった。」


どうやら救急箱を探しているようだった。
こんな所に何故そんな物があるのか問いたいがやめておいた。


「まさかこれを使う日が来るとは思ってもみなかったよ。」

どうやら雲雀が置いたものでは無いらしい。
副委員長の草壁あたりが、万一の為に置いておいたのだろうか?

「保健室のヤツに借りずに済んでよかったよ。ホラ、傷口見せて。」

雲雀は骸の羽織っていた学ランを取ると、骸はとっさに胸を隠す。
見ていたかったのに隠されてしまった胸、雲雀は舌打ちをしたが特に咎めることなく怪我の手当てをする。

傷口を消毒して、綺麗なガーゼを当てて、場所によっては包帯を巻いた。
手当ての仕方があまりにも手馴れていて、すぐに終わってしまう。


「こんなもんでしょ。」

「随分と慣れてますね。」

「知っておいて損はない知識だからね。」

「そうですね。」


骸は上履きを脱いで、足をソファに乗せた。
体育座りの格好をして、なんとか自分の肌が雲雀の視界に入らないように試みる。
自分のシャツは破かれ、己の学ランは屋上に放置され上に着るものが今はない。

「僕のそれ着ていいよ。」

それとはさっき羽織っていた学ランの事だろう。
情けを貰うのは性に合わないが、裸でいるよりマシだと思って雲雀の学ランを羽織った。
そのまま大人しくしていた骸の隣に、雲雀が座った。

「ねぇ、何で男装なんかしてるの?」

「・・・この世界、女でいるにはとても優しくないんですよ。」


男として扱われてたって優しくなかった
もし、女として生きていたらと思うと骸はゾっとした。

雲雀も一度リボーンに骸の事を聞いた事がある。
壮絶な過去を持っているだけに、女でいることがよほど重荷だったのだろう。
彼女はそのまま女として生きていたら、ここにはいなかったのかも知れない。


「まだそのまま男として生きてくの?」

「当たり前です。」

今日の事はイレギュラーだったのだ。
幸いにも、周りにギャラリーがいなかった為、女とバレたのが一人ですんでよかったと思っている。
このまま綱吉達が屋上にいたらもっと恥かしい思いをしていたかも知れない。


「・・・君に頭を下げてお願いするのは・・大変不本意なのですが・・。」

「ワォ、それ頼み事する人間の言う台詞じゃないよ。」

骸は雲雀の方を体ごと向かせた。

「お願いです。僕が女だという事は黙っておいて貰えませんか?」

「あぁ、そんな事。いいよ、別に。」


あっさりと雲雀は了解した事に、骸は納得がいかない。

(・・何考えているんでしょうか)


「でも、口止め料は貰うよ。」

「すぐに承諾したのはその為でしたか・・。一体何がお望みで?」



「僕のものになってよ。」



「それは・・・、君の前では女になれという事ですか?」


「そういう事、よく分かってるじゃない。」

やっぱり君は頭がキレるね。雲雀はそういって、骸をそのまま後ろに倒す。

「!!・・・どいてください!そんな条件冗談じゃありません!」

ダーメジがさっきより回復して、骸は少々強気だ。
今更女に戻れなんて、笑わせてくれる!

「歯向かう気?バラされたく無いんでしょ?大人しくしてくれる?」

「・・・僕が言うのもなんですが、随分と卑怯ですね。」

「なんとでも言いなよ。それに、僕に抗う力なんて残って無いでしょ?」

「くぅ・・。」


骸の両手を上でまとめて押さえつける。
包帯で隠れてしまってる所も多いが、白い肌を観賞するように上から見下ろす。

空いているもう片方の手は、遠慮なく胸の膨らみ触れた。

「あ・・・。」

「何?感じてるの?」

「ちが・・。」

「そ、じゃぁ感じて貰わないとね。」


強く揉みだすと、骸の口からさっきより声が漏れた。
面白くなってきた雲雀は、今度は首筋に顔を埋める。
肌の感触がスベスベしていて気持ちがいい。
これが乙女の柔肌というものだろうか?

(病み付きになりそうだよ。」

舌で首を舐めると、骸は面白い反応をする。

「やめて・・・下さ・・・・」

「イヤだね。」

耳元で囁くと、耳が熱くなってるのが分かる。
骸の可愛い反応に雲雀は口角を上げた。

チュウチュウとリップ音をたてて、耳に首に鎖骨にキスを落とす。


「いや・・・ヒバ・・君・・やめ・・。」

「だから嫌だと言ってるでしょ?」

「あぁ・・!!」


胸の突起を口に含んだ。
ザラついた舌で刺激をすれば骸は過敏に体を震わせる。
それが面白くて、強く噛むとビクンと骸の体は跳ねた。

ふと骸の顔を見ると、先程の様に顔を真っ赤にして羞恥で泣いていた。
この顔が堪らないと思った。
今、雲雀の前にいる六道骸は一人の女として、雲雀から受けている仕打ちに耐えているのだ。

(あぁ・・すごく気分がイイ。)

胸を揉んでいた手を、今度は下に下げる。
お腹辺りをそっと撫でてから、ズボンのベルトに手をかける。


「雲雀君?!そこは・・ダメです!」

「さっきからダメだの、ヤダだのうるさいよ?」

器用に片手でベルトをはずすと、下着越に秘所にふれる。

「あ・・いや・・ヤダ・・放して下さい・・。」

骸のいう事など目もくれず、雲雀の手の動きは止まらなかった。
下着越しでは満足するはずもなく、今度は下着も脱がしにかかる。

「いや・・やめて、いや・・やっぁぁぁ!!」

嫌と骸の叫びと応接室の扉を開く音が重なった。

いい所を邪魔されて雲雀は、扉を開けた人物を睨み付けた。


「・・・骸様を返してもらいます。」



「君達、本当にいいところで邪魔するのが上手いね。殺すよ?」


「千種・・・犬。」

行為を中断させたのは千種と犬だった。


「あぁ・・・もう、興醒めだよ。」

雲雀は大きな溜息をついて骸から離れた。
乗っていた気分が、千種と犬の乱入ですっかり失せてしまった。


「・・・早く行きなよ。僕の気がかわらないうちに・・。」


不機嫌そうに雲雀は机の椅子に座った。

「骸様・・早くこっちへ。」

「・・わかりました。」

千種から自分の学ランを受け取ると、今度はキッチリと前ボタンを全部占めた。


「・・・・雲雀恭弥、この借りは必ず返す。」

「柿ピー、今からぶっ殺した方がいいびょん!」

「駄目だよ犬、骸様のほうが優先だ。」

「チ・・・!」

つまらなそうに犬は千種の説得に引き下がった。

「アヒル、お前首洗って待ってろ!」

「フン、君達こそこの邪魔した罰はしっかりと償ってもらうよ。」


「もういい、めんどい。行こう。」


















骸はさっきから黙ったまんまだった。
こんな弱弱しい骸を見るのは初めてだったので、
犬はどう言葉をかけたらいいのかわからなかった。

「骸様・・大丈夫ですか?」

「・・・いえ、今日はちょっと流石に・・。」

初めて味わった男という獣の欲。
普段は感じることの無いギラギラした瞳になす術もなくいいように扱われた自分。

初めて恐怖を感じた。

「骸様・・?」

「骸しゃん?」


途中で黙ってしまった骸に、二人は心配の色が見える。

「すみません。もう大丈夫です。」

無理矢理笑顔を作って、歩くペースを早くした。









「失礼します。」

草壁が応接室に入ると、そこには酷く機嫌のいい雲雀の姿があった。
それが少し草壁には不気味に見えた。

「委員長、何かあったのですか?」

「あぁ、ちょっとね。いい収穫があってね。」

「それはよかったです。」

「ちょっと邪魔がはいちゃったけどね。」


ふと骸とのやり取りと思い出してる雲雀がいる。

あのまま無理矢理しても良かったが、心も手に入れるとなれば、
じっくり長期戦にしていった方がいいだろう。
まだ時間はいくらでもある。

幸いにも、骸が女だと知っているのは雲雀を含めて骸の部下だけだろう。
それなら好都合。ライバルはいない。
あの部下達は骸を手篭めにしようだ何て考えは、無いのが分かる。
つまりは自分だけだ。


それに骸の秘密を口外するつもりなんてない。
あんな綺麗な女の存在を知るのは、自分だけで十分。


(君は今日を境に、もっと僕の事避けるつもりだろうけどそうはいかないよ。)

(時間をかけてじっくりと追い込んであげる。君に逃げ道なんて無いんだよ。)


僕が君を女にしてあげる。











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・・・あれ?なんかグダグダしてる(いつもの事)
委員長様のキャラがぶっ壊れているのは仕方の無いことなんです。

本当にイロイロすみませんでした。
そしてまた、まとまりのつかない文章でごめんなさい。
いつものことですから←何様?!



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