無垢なる感情   前編






ロックオンの大きな手が僕を包んでくれる。

”スキだよ”と甘い言葉をささやかれて、僕も”僕も貴方の事が好きです”と返す。

そういうとロックオンはふっと優しく笑って、優しいキスを落としてくれる。
とても心地よくて暖かい。
コレが初めて知った人の温もりというもの。
僕は幸せだった。















今日のミッションにアレルヤの指名はなかった。
ティエリアとプトレマイオスで待機だった。

地上に長けているロックオンと刹那が、地上に降りてミッションをしているだろう。
きっと今の時間ならその最中だ。
今回のミッションは多少複雑で難易度が高いが、ヴェーダはロックオンと刹那の二人だけを推奨した。
それがヴェーダの判断なら仕方ないとティエリアは異論はなく、アレルヤは複雑ながらも渋々了解した。


待機といってもキュリオスのコクピットで臨戦状態というわけでもなく、
コロニーの中を自由に行き来できる状態であった。
ハッキリいって暇だ。

ティエリアはきっとヴェーダとリンクしていろんな情報を頭にインプットしているだろうに、
コロニーの皆は、それぞれ役割がある。
少々引っ込み思案なアレルヤにとっては、なかなか声がかけづらかった。


部屋にいても居た堪れなく、星空しか見えないけど景色を眺めようと部屋を出た。


「やっぱり宇宙はなんの変哲もないね。」

見ていても見渡す限り星、惑星、しか見えなくかわりばえしない。
今度暇つぶしに本でも買ってこようと、アレルヤは思った。


「アレルヤ・ハプティズム。」

「あ・・ティエリア・・・君も暇つぶしにここに?」

「あぁ・・。」

ティエリアはアレルヤの隣に立ち、星を眺める。


「ところで、君はロックオンの事が好きなのか?」

「え・・・?好きだよやだなぁ?決まってるじゃないか。それにティエリアの事も好きだよ。」

アレルヤの言葉に偽りはない。
今更何を言ってきているのあろうと、アレルヤは首をかしげた。
しかし、アレルヤの言った事はティエリアの求めていた答えとは違っていたようだ。

「君は・・・まぁいい。俺も君の事が好きだ。」

「本当に、よかった。」

「そうだな。でも君の”好き”と俺の”好き”意味が違う。」

「??」

ティエリアの行く事がアレルヤには分からなかった。
好きなら好きで同じではないのか?


「俺はロックオンと同じ意味で君の事が好きだ。どうやら彼は君の好きの意味を履き違えているようだ。」

「どうしたんだい?ティエリア・・・言ってる意味がよく分からないよ。」

「わからないならそれでいい。むしろその方が好都合だ。」

「え・・」

「アレルヤ、俺の部屋に来ないか?ここで立ち話もなんだからな。お茶ぐらいだそう。」

「本当に?ありがとうティエリア。」


珍しく、ティエリアからの誘いにアレルヤは嬉しくて、言葉二つで了解をした。
ティエリアはこの前クリスティナに紅茶を貰ったと言って、その紅茶をアレルヤにだした。
クリスティナいわく、ティエリアはコーヒーより紅茶という感じがするらしいとの事で買い物ついで
買って来て、ティエリアにそのまま押し付けたらしい。
なんとも彼女らしい。


「あ、おいしいね。このお茶。」

「本当か?」

「・・・ティエリア、一回も飲んでなかったの?」

「あぁ。」

「そう・・・。・・・・。」


アレルヤの意識がグラ就いた。
おかしい。さっきまで平気だったのに、頭がモヤモヤする。
目の前には、ティアリアがいつのに、またイヤミを言われてしまう。


「アレルヤ・・どうした?」

「ゴメン。ティエリア、せっかく誘ってもらったのに、なんか頭が・・。」

「気にするな、無理に誘って悪かったな。」

「いいん・・・だ・・・それ・・よ・・・」


話している途中で、アレルヤは意識を失った。


「・・・強力な睡眠薬。これならお前でもひとたまりもないだろう。」























あぁ触れられるところが気持ちいい

もっとさわって・・・
しなやかな手で僕を包んでくれるのは一体誰?
でも今はもうでもいい。

今は何も考えたくない。







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